インタビュー特集

島外の子に負けたくない。地元出身の僕らも変わっていく。(卒業生インタビュー)

沼田啓佑さん
卒業生(海士町出身)/法政大学 現代福祉学部 福祉コミュニティ学科 在学中(取材時)


‐ 隠岐島前高校に進んだ理由
島の仲間と、地元の高校に進学。そこには新しい世界が広がっていました。

僕は、隠岐島前高校のある海士町出身です。小学校が2校、中学校は1校なので、島の仲間はみんな顔見知り。多くの子は、そのまま地元の隠岐島前高校に進学します。僕の時代は、島外の出身者がクラスの約半分。しかも、北海道から宮崎まで、東京や大阪、広島の都会の子はもちろん、中には海外からの帰国子女の子もいて、島のことしか知らなかった僕らにとっては大きな刺激になりました。高校生活はまさに異文化交流。言わなくても分かり合える島の生活から、自分の思っていることははっきり言わなければ伝わらない世界へ。人を見る力、人に伝える力が磨かれたと感じています。

‐ 高校時代の想い出
島外の子に負けたくない。刺激を受けて、生徒会長へ。

島の僕らにとっては、島外から来た子は主体性を持った大人に見えて、実際に部活や行事でも活躍する子がたくさんいました。雰囲気に圧倒されながらも、「自分たちの地域にある学校なんだから、僕らも頑張ろう!」と刺激を受けることも多かったですね。僕も何かしたいという想いを抱えており、高校3年生の時に生徒会長に立候補しました。ちょうど高校の60周年記念の年だったこともあり、地元はもちろん隠岐諸島の島前三島を巻き込んだ学園祭にしようと企画。生徒会でオープニング動画を制作したほか、地域の人と生徒たちで組んだバンド演奏や卒業生による和太鼓の演奏などで、島前の伝統文化や地域との一体感が味わえるイベントも行いました。島外生が島の魅力を発見し、それを島のみんなが自覚する。そんないい循環が生まれていると感じています。

‐ 卒業して感じる、島前高校の魅力
最高の仲間と社会で役立つスキル、未来へのモチベーションが得られる場所。

人間として大きく成長できた3年間だったと感じています。島外生と島内生、そして地域の人々が、お互いをいいところも足りないところも知り、補い合い、感謝の気持ちが生まれる。たぶん隠岐島前高校に行っていなかったら、自分がこれほど社会や人に興味を持つことはなく、自分とも向き合えていなかったのではと思っています。
大学では地域活動を行うサークルに所属。大学のある多摩地区では団地が多く、少子高齢化やコミュニティ衰退といった課題に対し、空き店舗をカフェやイベントスペースに改造することで地域拠点を創出するなど、様々な取り組みを行なっています。地域に入り込んで本質的な課題を知る。自分の考えをわかりやすく伝え、人を巻き込んでいく。そんなスキルが高校時代に身に付いていたことを実感します。

この記事をシェア