※『ヒトツナギ』とは、全国の高校生による地域観光プランコンテスト 第1回『観光甲子園』にてグランプリ(文部科学大臣賞)を受賞した観光プランです。

観光プラン『ヒトツナギ』の旅のドキュメンタリー映像

島の魅力的な'人'を観光資源と捉え、島の人と交流し、都会では味わえない自然体験ならぬ、'人間体験'をし、人とのつながりをお土産に持って帰ってもらおうという、島外の中高生10人、島内の中高生10人を対象に企画しました。
『ヒトツナギ』プラン内容のプレゼンテーションはこちら!

今年2月に参加者を全国から募り、3月に島前高校の高校生スタッフが中心になって実現化させた『ヒトツナギ~人との出会いから始まる 君だけの島前三島物語~』。

3島で過ごした5日間で、参加者の方はどんな宝物を見つけられたのでしょうか...。


旅の始まり『出会い』

ヒトツナギツアー顔合わせ

「ようこそ島前へ ござらした!」
隠岐島前・西ノ島の別府港にて、この日から5日間をかけてそれぞれの物語を紡ぐことになる全員が初めて顔をあわせました。
島外からの参加者は、首都圏のほか松江市在住の生徒ら10名。(注:高校生スタッフ8名のうち3名は、島内メンバーとして旅に参加したため、5名になっています。)
島外参加者は普段暮らす都会とはあまりに違う環境の中で繰り広げられる冒険を目前に控え、期待と興奮で笑顔がこぼれます。
地元参加者は、遠方からはるばるやってきた新しい友達に興味津々。

「みんなと仲良くなれるかな...」
「この旅、本当にうまくいくのかな...」
とびきりわくわくと一抹の不安を抱えて、彼らの「ヒトツナギ」はスタートしました。

焼火神社へ

別府港からバスで約15分、到着したのは海抜452mの焼火(たくひ)山の麓。夕闇が迫りくる中、大きな荷物を抱えて山登りスタート。
目指すは、ヒトツナギ参加者が最初の2日間寝食を共にする場所で、日本海の船人に海上安全の神と崇められる由緒ある焼火神社。
時おり視界が開けると、そこには海に沈み行く夕日。思わず足が止まります。
急傾斜に加え強風による倒木があったりと一筋縄ではいかない山道ですが、約30分後ようやく到着。すると社務所の前には解け残った雪が。

「寒い!! 東京は春だったのに、冬に戻った気がする...」(島外参加者 女子)

雄大な、そして厳しい隠岐の自然に迎えられ、焼火でのヒトツナギ体験が幕を開けたのでした。


伝統芸能で歓迎『歓芸会』
地元高校生らが「民謡の国・隠岐へようこそ!」とばかり、自慢の伝統芸能の隠岐民謡の相撲取り節を、銭太鼓で見せて、歓迎しました。
「すごい!うまい!」
「かっこいい~!」
自然と拍手が沸き起こります。都会からの参加者には民謡自体が珍しいうえ、それを同世代の友達が堂々と披露しているとあって、驚きと感動は並々ならぬようでした。

歓芸会

お次は、海士町発祥の民謡・キンニャモニャ!
みんなで踊れるようになるため、踊りに使うしゃもじの持ち方を教え、手取り足とり...地元っ子たちがみっちり指導を行いました。

「この踊り、楽しい!!」
歓芸会を堪能した島外参加者たちは、"芸達者"な地元高校生たちを見るまなざしに尊敬の色が混じり始めた様子でした。
また、自己紹介の時間では、都会の若者らしい大胆なパフォーマンス力を発揮してくれました。


島ならではの冒険『指令』

ヒトツナギツアーの指令

分かれて島前3島に散らばり、「島の人物マップを作る」「島に伝わる怪談や民話を探す」「アジ・メバル・ベラを島民と一緒に釣って食べる」などのテーマにチャレンジすることで、島ならではの冒険を楽しむという企画です。
   
海士町(中ノ島)に向かったのは、地元っ子を含めた6名のグループです。
彼らの"指令"は「海士に伝わる怪談や民話を聞き集めること」
玄関港でも有数の博識おじいさん・おばあさんにヒアリングして昔話についての情報収集を行いました。
島の南部の崎地区では、島随一の語り部おじいさんに後鳥羽上皇にまつわるさまざまな逸話を教えてもらいました。


島っ子になる『暮らし体験』

ヒトツナギツアーでホームステイ

「普段と違う生活の中で自分を再発見し、もうひとつのふるさと、そしてもうひとつの家族を作ってください!」(高校生スタッフ)

Оくん&Tくんペアのステイ先は、海士町のブランド岩がき「春香」を手がける海士いわがき生産株式会社の代表取締役であるОさん宅。岩がきの出荷作業なども体験したり、なりたい職業の話をしたりしました。この夜、お菓子作りが得意なОくんはクッキーを手作りしてプレゼントしたそうです。

同じく海士町で、ステイ先のМさんの手ほどきを受けながら初めての釣りにチャレンジしたのはTくん。「昔は地下(じげ)中で海に潜ってサザエを獲ったもんだよ」「へぇ~!」釣り名人もよく来るという穴場で、Tくん人生最初の釣果は「ぼっか(かさご)」の子どもでした。

HさんとTさんは海士町内のKさん宅にお泊り。牛舎で牛のエサやりを初体験しました。
また、「ワカメを自分で海に採りにいってその日の夕飯で食べるなんて初めてでした!」(廣瀬さん)と、自給自足の食生活に新鮮な感動を覚えた様子でした。


出会いに感謝『だんだんパーティー』

ヒトツナギツアーでのだんだんパーティ

「このお刺身と煮付けは参加者みんなで作りました! 美味しいので是非!」(高校スタッフ)
"島の家族"ホストファミリーの皆さんと一緒にテーブルを囲みます。食卓には刺身や煮魚の他、ハバの炊き込みご飯で作ったおにぎりやジンバの天ぷらなど、島前ならではの島グルメが並びました。なんとウミウシ(アメフラシ)を西ノ島特産のなめみそと山椒で和えた珍料理も登場。

心尽くしの島グルメを一通り堪能した後、みんなで撮った写真をもとに作ったスライドショーを大画面で見ながら、これまでの旅を振り返りました。

「東京と比べてここの自然や人間的な魅力が全然違うと思った。おじいちゃんやおばあちゃん達の僕らを受け入れてくれる感じがすごく嬉しかった。」(島外男子高校生)

「色んな初体験をした。民泊で世話になった陶芸家の加藤さんに、お皿も自分で作ると視点が変わるということを教わった。この体験を糧に帰っても頑張りたい。」(島外男子高校生)

ヒトツナギツアーのだんだんパーティにて

「地域の人たちみんなが自分たちの島のことを大好きで、その良さを一生懸命私に伝えようとしているところが良かった。人が温かいところだったと家族に伝えたい。」(島外女子高校生)

「食べ物に感動した。自給自足ってのがすごい!」(島外男子高校生)

「明日帰るのが嫌!夏に必ずまた来ます!!」(島外女子高校生)

「山や夕日、海、その景色のよさを見ているだけで目に涙がたまってくるほど感動し、勇気や希望をもらえた。隠岐は何か特別な力をもっているんじゃないかと思う。感動をいただいた分、この経験を土台に、自分の夢に向かって頑張っていきたい。ありがとう。」(島外女子高校生)

「朝6時に牧場に行ったときすごく寒くて、牛の世話の大変さを感じた。普段食べているお肉の裏にある努力はすごいことだと思い知った。滞在中に強く感じたのは、島前では当たり前のように存在している温かさと人どうしの繋がりの強さ。これを実感したからこそ、東京に戻って伝えたい。ヒトツナギの旅を多くの人に体験してほしい。」(島外女子高校生)

「ヒトツナギ」体験を経て大きな成長を遂げたのは、ツアー参加者だけではありません。
昨年の「観光甲子園」から現在までずっと関わり続けてきた元祖メンバー、高校生スタ
ッフが「(いま無事にパーティーをできていることが)これは夢か幻か...。日々、我々も進化し続けてきたのだとしみじみ感じています」と語ったように、コネクターたちもまた多くのことを学びました。


別れ、そして始まりの時『船出』

島南端の崎地区から見る朝日

翌朝5時半、まだ眠気の覚めないみんなを乗せたスクールバスが鏡浦寮を出発しました。
向かうは南端、崎地区。島の夜明けを見るためです。

黄金色に輝く朝日に出会えた瞬間、絶句。
「すごい...。こんな朝日、見たことなかった」

「ヒトツナギ」の旅で彼らが見て、聞いて感じ取ったのは、島ならではの素晴らしき日常。人と人とのつながりそのもの。島前の良さを発見し出会いに感謝し、人と自然からパワーをもらってそれぞれの故郷へ帰ります。お土産は絆。参加者の中には、本音で語れる一生の仲間を得た人もいるかもしれません。

「島前を第二のふるさとだと思って!」
「いつでも戻ってきいいんだよ!」

ヒトツナギツアーの別れのとき


上記の内容は、平成21年度「ヒトツナギの旅」モニターツアー活動報告書(PDF:712 KB)からの抜粋です。