インタビュー特集2020年5月12日 (火)
“わたし”の高校3年間(卒業生インタビュー)
地域みらい留学のnoteにて紹介された本校卒業生・山口結衣さんの声をお届けします。
地域みらい留学のウェブサイトも合わせてご覧いただければ幸いです。
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こんにちは。この3月に、島根県立隠岐島前高校を卒業した山口結衣と申します。ちょうど3年前の今頃、私は「島留学生」として、地元である岡山県倉敷市から島根県・隠岐諸島にある中ノ島(海士町)へやってきました。
3年間を振り返るにあたり
私が送った高校3年間は、沸騰しすぎた味噌汁以上に濃いものでした。また、私は昨日の朝食も覚えてるのがやっとです。そのため、3年間の出来事を感情ごと思い出し、整理することがとても難しくありました。そんなときに役立ったのが「記録」です。私の尊敬する人は「記憶より記録」だと口癖のように言ってます。
★もしその手帳や”記録”が伝わる写真があれば★
私は高校に入ってから「ほぼ日手帳」を持ち歩くようになりました。そこに、ささいなメモ書きから予定管理までを記録していました。また、Facebookも始め、自分の中での特別事の度に投稿するようにしていました。
それがいま、高校3年間を振り返ろうとするにあたってとても役に立っています。その他にも、カメラロールを見返したりしました。
とにかく、中学生・高校生関係なく、「記録」は自分の過ごした時間の証となるのでオススメします!
私自身もこの先「記録する」ことは続けていきたいなと思っています。
地域みらい留学を選んだ背景
「なんでわざわざ島留学で島前地域にきたの?」
高校3年間で出会ったほとんどの方から、この質問を受けました。
その質問に対し、私は「自分の知らない土地で、自分自身を成長させたいからです!」と答えていました。すると、大抵の方から「おおー!」という反応を貰えました。正直、気持ちよかったです(笑) ですが、そんなキラキラした答えは後付けで、本当をいうと「島留学」という選択は、当時(中学3年生)の私にとっての「逃げ」でした。
中学時代、私はソフトボール部に所属しており、中学3年間の全てをソフトボールに捧げました。それほどソフトボールが大好きでした。しかし、あと1勝すれば全国大会、負ければ最後の試合で私がエラーをしてしまい、全国の舞台には届きませんでした。
その出来事から、私の持っていたもの、今まで積み重ねてきたものが全てなくなったように感じました。この先もソフトボールを続けること、私を知る人が周りにいることが怖くなりました。そんな時に出会ったのが隠岐島前高校への島留学という道でした。
実際オープンスクールで島前に行くと、私を知る人がほとんどいない環境がとても楽に感じましました。
そして、オープンスクールでお話しされた内容が、私の隠岐島前高校への志望を決定的にしました。
そこから、恋した乙女のように隠岐島前高校だけを目指し、2017年の春に無事、隠岐島前高校へ入学しました。
島前地域・生活の紹介
私の高校生活での取り組みについて書かせてもらう前に、私がどんな場所で、どういった生活をしていたかについて紹介させてください。「隠岐島前高校」への島留学に興味を持っていたり、志望している人にとっての参考にもなればと思います。
島根県沿岸から北へ60km、日本海に浮かぶ隠岐諸島の中の3つの島ー中ノ島、西ノ島、知夫里島ーを隠岐島前と呼びます。
6:50 起床
7:00 点呼(全員参加) 点呼後、朝食を済ませ支度する
8:10 寮から出てないといけない
8:25 学校への登校完了
16:00 6限だとこの時間に学校が終わり、部活のある人は部活へ
19:30 門限点呼(学習センターへ行く人意外はこの点呼へ参加)
19:50〜20:40 学習時間
22:20 最終点呼
22:45 最終点呼が終わってから25分間掃除
23:30 消灯
休日の過ごし方は、ほんとに人それぞれです。私の場合、1・2年生の頃は土日とも朝から夕方まで部活をしていました。部活を辞めてからは、寮で声をかけられた地域へのイベントやお手伝いに参加したり、友達と海に行ったりしていました。
洗剤や、シャンプー・リンス、お菓子などは、近く(寮から徒歩約10分)の商店へ買いに行っていました。ただ、本土と比べて物価は少し高めです。服や日用品は、帰省(1年の中で帰省するタイミングは、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休み、春休み※部活や個人の事情によって期間は違います。秋休みは無かった気が…)したときにまとめ買いをしてくる人が多かったです。
今の時代は、Amazonなどもあるので不便に感じる場面は少なかったかと。ただ、離島のため荷物が届くのに時間がかかることは想定しておかないと冷汗かくことになります。笑
しかし、「美味しい食べ物」には溢れています。寮の食事は勿論のこと、地域のイベントで出会う料理やスイーツ、地域の方のもとへお邪魔したときに時々出てくる島前ならではの食事など。やっぱり「食」は大切だなと感じました。
私の高校3年間での取り組み
高校生活の中で、私は失敗も含め、ほんとうに多くの経験をさせていただきました。今回は、その中でも特に熱量を注いだ「部活動」と「マイプロジェクト」について書かせてもらいます。
~部活動~
島前高校へ入学してすぐ、私は軟式野球同好会に女子選手として入部しました。その背景は、「部活動には入るものだ」という当時の私にとっての前提のもと、「身体を動かせる」かつ「自分が楽しめる種目」を探した結果でした。
顧問の先生に相談した結果、「公式試合にはルールとして出られない。女子だからと練習メニューに差異をつけない」の条件で、私の入部を受け入れてくれました。もう公式試合は経験したくないと思っていた私にとって、これらの条件はむしろありがたいことでした。
実際に部活が始まると、楽しくて楽しくて仕方なかったです。私の1・2年生を充実させてくれたのは、間違いなく「部活」でした。試合に出られないからこそ、私は純粋に「野球」を楽しむことができました。当然、男の子の中で練習することは体力的にも、精神的にもキツかったです。毎日の放課後練習、土日は朝から夕方まで。走りながら泣くことなんて何回もありました。でも、文字通り泥だらけ、汗まみれになって必死になれるものが、当時の私にとっての「部活」でした。
しかし、1つ上の先輩の引退を機に、私は部活を辞めました。その理由は、純粋に野球を楽しめなくなったからです。いつからか、私は部活に対する愚痴の数が多くなっていました。「部活をするために島に来たんじゃない。」「なんで、試合に出れないのに頑張らないといけないんだろう。」そんな自分が嫌で、これ以上野球も部活も嫌いにもなりたくない。そう思って辞めることにしました。
辞めてから、やっぱり続けておけば良かったかなと思うこともありました。
しかし、今では軟式野球同好会に入部して良かったと思うし、あのタイミングで辞めたことにも意味があったなと思っています。
~マイプロジェクト~
私は1年生の秋から卒業するまでの間、ひとつの「マイプロジェクト」に取り組んでいました。
内容としては、海士町内のひとつの小学校へ行き、授業やイベント、昼休みを使わせてもらった小学生と高校生の交流を行いました。
私がこのプロジェクトを始めたきっかけは、同級生の子に運営の勧誘を受けたからです。1年生の秋、私は部活動に熱中していた一方で、地域活動やプロジェクト活動をしていない自分に焦りを感じていました。そのため、この機会を逃すわけにはいかないと思い、プロジェクトの運営を行うことにしました。
プロジェクトってどんなことをするのか、私の経験をもとにざっと並べてみました。
・目的(なんのためにプロジェクトをやるのか)の言語化
・内容(目的の達成のために、何をやるのか)を決める
・メンバーを集める(運営メンバー、当日参加メンバーとか)
・現場の方(私の場合、小学校の校長先生)に協力依頼
・スケジュール設定(私の場合、2年間の活動期間で、年に3セット、1セット週1×5)
・現場の方との打ち合わせ(2週に1回のペース)
・資料作成
などなど。プロジェクト内容や目的によってやることは変わってくるのですが、プロジェクト初心者だった私にとっては「なんじゃこれ!」という経験の連続でした。
プロジェクトの全てを書くとなると、ほんとに短編小説ぐらいの量になりそうなので、プロジェクト活動のまとめに入ります。
私がプロジェクトをやって、最も良かったなと思うことは、「人とのつながり」が広がったことです。協力してくださった小学校の先生方、めちゃめちゃ可愛い小学生、島根マイプロジェクトアワードをきっかけに出会った高校生、大学生、大人の方々。みんな、プロジェクトをやっていたからこそ出会えた人たちです。プロジェクトを機に、高校のフィールドを超えた出会いを私は経験することができました。そして、この出会いは私の今の原動力になっています。
さいごに
ここまで長々と書かせてもらったのですが、それでも書ききれていない思い出が沢山あります。そのこと自体が、幸せなことなのかもしれません。
私は高校3年間を通して、色々な経験や失敗をさせてもらいました。全て、やって良かったなと思います。それはきっと、私が経験したこと、挑戦したこと、失敗したことのおかげで出会うことのできた人たちがいるからです。その方達との出会いが、私の高校3年間の宝物であり、この先の私の頑張る源です。
中学生やこの先の私にも伝えたいことは、やりたいことを見つけたり、成果を出すことも勿論大切だけど、誰かと一緒に笑う時間、自分が自分らしくイキイキ・ワクワクできる場や仲間も同じぐらい大切にしてほしいということです。それが、ピンチの時の自分の「生きる」を支えてくれると思います。
改めて、このような場を設けてくださった魅力化プラットフォームさん、高校生活の中で出会い、一緒に時間を過ごしてくれた方々に感謝申し上げます。
素敵な時間、思い出をありがとうございました!!