インタビュー特集

嫌いの先に「好き」がある? 女子寮の魅力とは?(前編)

本校の島留学生が住む三燈(男子寮・さんとう)と鏡浦寮(女子寮・けいほりょう)、そこは日々の暮らしの場でありながら、自立と協働の学びの場であり、高校生の青春がたくさんが詰まった場所です。今回のインタビューでは、前女子寮長の3年生大倉野彩花さん、現女子寮長の2年生堀江真渚さんに、女子寮の日常と魅力、そして寮長としての想いについて話を聴いてみました。

卒業を控えたある日のインタビュー。
前編・後編の2回にわたってお届けします。

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大倉野彩花(おおくらのさやか)さん <写真右>
愛知県出身。2017年に隠岐島前高校に入学し、2019年3月に卒業。
卒業後は保育を学ぶために進学。子どもから、おじいちゃん、おばあちゃんまで、出会う人の「その人らしさ」を応援することが、将来の目標。

堀江真渚(ほりえまな)さん <写真左>
福島県出身。2018年に隠岐島前高校に入学、現在女子寮長をつとめている。将来は独自性があり、お母さんの気持ちに最大限に寄り添った助産師になりたいと思っている。

(写真撮影:2年生 山中瑞歩さん(隠岐國学習センターにて))

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– 改めて二人から見た寮の魅力、女子寮の好きなところから話をはじめましょうか。

<大倉野>
魅力か、なんだろうなぁ。

<堀江>
わたしは人が好き、寮にいる人が好きって、最近は思います。

<大倉野>
なるほど。

<堀江>
最初はお互いになじめないこともあるし、一緒に過ごしてると、嫌な部分もけっこうみえるから、嫌いになることもあるけど、たぶん嫌いの先には、好きがあって、その好きの先には大好きがあって。

<大倉野>
ポエムっぽい(笑)。でもたしかに、掃除とか洗濯とか何でも自分たちで一緒にやらないといけないから、大変ではあるけど、他の寮生が挑戦する姿をみて、自分も何かやりたいという気持ちになれたことは大きかったと思う。

<堀江>
うんうん。

<大倉野>
嫉妬する気持ちが、つよくなったこともあったけど(笑)

<堀江>
あ、たしかに。なんか、みんな出身も、育ってきた環境も違うから、今まで自分になかった考え方とかを意識するようになったし、もっと色んな考え方をみにつけたいなと、思うようになりました。

女子寮、鏡浦寮。奥にそびえるのは家督山(あとどさん)。

<大倉野>
わたしは考え方とか価値観とかは、地元の愛知でもある程度は多様性があると思ってたけど、ここに来ている寮生は勇気を持って踏み出して島に来ているという共通点があって、それは大きいかも。そのぶん、自己主張もつよいけど。

<堀江>
たしかに。

<大倉野>
じつは、自分のことを認めてほしい人、いっぱいいるんじゃないかな。

<堀江>
わたしも、「真渚が寮長でほんとによかった」って言われるとやりがいを感じますよ。「かまってちゃん」が女子寮には多いのかも?

 

– ちなみに二人はお互いのこと、どう見えてるの?

<堀江>
彩花さんはスピード出すけど、周りがちゃんと見えていて事故にはならないというか。寮でも誰一人こぼさずに見るし、そこまで見える人に、今まで会ったことがなかった。

<大倉野>
なんか、恥ずかしい。でも、わたしも「変化を楽しめる寮」であることと、「一人も見捨てない寮」であることは大事にしたいなって、ちょうど昨日色んなことを振り返りながら思ってたから嬉しい。

<堀江>
ちなみに、わたしのことはどう見えてますか?

<大倉野>
うーん、そうだね。どうかな。意外と言葉にするとなると、むずかしいね。

<堀江>
そこを、なんとか(笑)

<大倉野>
真渚ちゃんは人のことをよく見ているけど、それを外に出さないこともある。寮のことよく考えて、1年生のこととか、状態が落ちている子のことも気にしてて。でも、それを自分の中でとどめていることもある。一人でそれを抱えるというか。あ、なんかわたし、真渚ちゃんのもったいないところを言っちゃった?(笑)

3月に卒業し、これから保育の道を志す大倉野さん

<堀江>
はい(笑) ただ鋭い分析だと思います。

<大倉野>
でも、真渚ちゃんのことを助けてくれる人がたくさんいるよね。

<堀江>
はい。私自身は1年生に厳しいことをなかなか言えなかったりして。でも副寮長に助けてもらったり、最近は他の2年生が注意してくれることもあったりして。こっちからお願いしなくても、周りが言ってくれたりすることが、とても嬉しかった。

<大倉野>
うんうん。

そんな二人はどのように想いを受け継いできたのか、後編につづきます

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