校長室より

課題は伸びしろ ~「探究」という名の挑戦を続けよう~ (3学期終業式式辞)

3学期終業の日を迎えました。平成30年度を締めくくる日でもあります。課題や問題が一切なかったとは言えませんが、概ね順調に月日を重ね、こうして皆さんと共にこの日を迎えられたことを嬉しく思います。「平成」と呼べる最後の年度を、ここに集う教職員、生徒だけでなく、地域や保護者の皆様と共に協働の中で過ごせたこと、何よりも生徒の皆さんの学びと育ちを実感できたことに感謝するばかりです。

今日は、いくつかの「言の葉」をもってこの1年を振り返り、次年度に向けての提案をする機会にしたいと考えます。時折みなさんに問いを投げかけますので、当事者意識をもって思考・表現してください。

1)「前傾姿勢」・「SINKA」

この2年間のスローガン。特に本年度は「前傾姿勢でSINKA」を呼びかけました。「で」とあるのは、手段を表しています。やる気や意欲、姿勢や態度がなければ、事は成し遂げられません。めざす所の「SINKA(新化・親化・深化・進化・真価・神化)」を実現するために、まずは心の在り方から見直していく。新しいものに挑もう、誰とでも親しくなろう、知見を深めよう、成長しよう、自身の価値を高めよう、神がかった存在になろうなどと心がけること自体が既に前傾姿勢であり、皆さんの取り組みには大いに見られた点でした。グローバル探究、シンガポール研修、学園祭、大学企業見学、部活動や地域活動など、結果はともかく一歩目をしっかりと踏み出し挑戦する姿は実に美しかった。まだまだSINKAの途上でしょうが、道半ばにして終えるのではなく、これからも高みをめざして挑戦し続けましょう。

(問い)島前高校、SINKAの優先順位ベスト3は何だと考えますか?(それはなぜですか?)

2)アイ(愛・~合い)に満ちた、見続ける学校

本年度から伝え始めたメッセージ。学び合い・励まし合い・支え合い・助け合い・高め合いなど、仲間や他者と互いに結びつき協働することによって生み出される愛(友愛・師弟愛・家族愛・兄弟愛など)を「絆」と呼んだりします。とりわけ同じ環境で同じ志を持つ、いわゆる同志とつながり合うとき、「愛」はいっそう広がり深まっていく。高校は修練の場であるとともに共創の場です。どうでしたか。

(問い)あなたは愛を生み出し感じることができましたか? (特にどんなアイを心がけましたか?)

また、教職員はこの一年、生徒の学びや育ちを指導したり支援したりするため、時には厳しく時には温かく、見抜き、見立て、見守り、見続けるように努めてきましたが、いかがだったでしょうか。

(問い)生徒の学びと育ちを促す「見かた」、どのようなものを求めますか?(それはなぜですか?)

3)思い遣りとおかげさま

「地域に愛される学校宣言」に因んで、2学期終業式と3学期始業式に伝えた言葉です。トイレットペーパーの補充を例に、いささか仰々しく「思い遣り日本一の学校、おかげさま学校をめざそう」と呼びかけましたが、覚えていますか。学園祭や海外研修、大学企業見学など、素晴らしい取り組みをしながら確かに成果を上げてくれる皆さんが、ごく身近なところで実践できていない点を課題ととらえ、もっと伸びるため、いっそう良くしていくために投げかけたメッセージ。成長を共通目標に集う学びの空間と共に過ごす時間をしっかり整備(コントロール)できれば、必ず自分のためになる、同志のためになる、ひいては地域に信頼され愛される学校になると考えます。要は、自分勝手な我が儘(わがまま)を抑えること、相手を慮る(おもんぱかる・配慮する)こと、そして感謝の思いを忘れずに形にして表そうとすることさえできれば、すべては整いうまく回るはず。私はそう信じています。だからこそ「学びの環境整備」、「ふるまい・身だしなみを正す」ことから始めたいのです。まだまだ伸びる本校、なにせ課題があってもこれだけ生徒が育っているのですから。まさに「課題は伸びしろ」。本校の得意な探究を、このテーマで取り組んでいきたいのです。挑戦の場と機会は、地域や外部、企画やイベントだけにあるのではないのです。

(問い)新しい年号となる次年度、この学校でどんな探究に挑みますか? 挑戦を試みますか?

問いの応え(×答え)は個々人に委ねることとし、新たなる挑戦を期待して終業式の式辞とします。

平成31年3月22日 校長 多々納雄二

この記事をシェア