校長室より

臨時休業延長にあたり(校長メッセージ)

5月GWも最終日、島前高校の校舎周りは、新緑が眩しい季節になってきました。

5月5日、島根県教育委員会より、県内一斉臨時休業期間の延長について、「臨時休業を5月31日(日)まで延長する」との通知がありました。新年度がはじまり一月、全校生徒が揃って登校できない状況が続いています。特に、島外生にとっては、健康観察期間を経て、その後の学校臨時休業による寮での生活と続き、待ちに待った学校再会、そして、登校日となる予定でしたが、全校生徒が揃って登校できる日はもう少しだけ先延ばしとなります。しかし、5月7日(木)・8日(金)は学年ごとの分散登校、そして、5月18日(月)からは教科指導を中心とした計画的な登校日を設定します。今回、予定通り臨時休業期間が解除になれば、現在島外の自宅で待機をしている生徒の皆さんも登校し、6月1日(月)からは全校生徒が揃って学校活動がスタートできます。

この一年間、新型コロナ感染症による感染が確認される前から、これからの隠岐島前高校のあり方について検討を重ねてきました。そして、今後を見据えた時に、教職員、生徒がしっかりと取り組んでいかなければならないことがいくつかあることから、そのことを教職員間で共有して令和2年度をスタートしました。しかし、感染症の影響が拡大する中、その大切なことの中においてもさらに優先順位を考え、学校として真に大切なことに焦点をあて、その責任を果たしていかなければならないと今は考えています。

まずは、3年生の進路実現です。多くの3年生が見通しの持てない現状に不安を抱えていると思います。学校の9月入学についてその是非が社会で話題にもなっています。このことについては、今のところいろいろな情報が錯綜しています。君たちに伝えるべき情報は、学校から責任を持って伝えますので、情報に振り回されることがないようしてください。不安に思うことは、自分の中だけで抱え込まずに、学校教職員や学習センタースタッフ、そして家族、友人に伝えてください。学校においては、関係者が連携・協働して君たちの不安や悩みを共有し、具体的な対応に繋げていきます。君たちは、今、自分にできることに焦点をあて、例えば学習面においては1・2年次の復習を徹底するなど確実にできることから実践していってください。

つぎに、1年生が高校生活に適応していけるようになることも学校にとって大切なことです。特に、島外から入学し、親元を離れて寮生活を送る1年生は不安や悩みも多いはずです。先輩や友人が大きな力になってくれますが、それでも解消されない気持ちがあれば、相談しやすい大人に声を掛けてください。1年学年部をはじめ、全教職員が君たちを支援していきます。

2年生にとっても、学習面や学校行事・部活動などどうなるのか不安に思っていることが多くあるでしょう。しばらくの間、学校活動における計画の変更が多くなると思われますが、この状況の中で、3学年の中間に位置づく2年生の存在が学校の推進力になっていくことは間違いありません。この苦境を乗り越えていけるように、2年生にはわれわれ教職員とも一緒になって学校を支えてもらいたいと期待します。

ホテルや寮で健康観察期間を過ごした島外生からの感謝のメッセージ、その思いを言葉や行動につなげる実行力に島前高生の底力を感じます。本校を志願して入学してきてくれた君たちにわれわれ教職員も応えたい、今、そう強く感じています。感染が拡大する中で、社会的に問題となっていることが、感染者への差別、偏見です。感染者だけでなく、医療従事者や見えないところで暮らしを支えてくれている人たちさえその対象となっています。限られた情報しかなく危機感が強まると、人は理不尽な行動に走ると言われます。今、われわれに求められるのは、正しい知識と人間性。他者の気持ちを思いやった言動にこそ価値があることを認識し実践していきましょう。

高校の3年間、それは君たちの人格形成に大きな影響を与える3年間。人生を左右すると言っても過言でない3年間。この3年間のうちに、自分の心に残る○○を持てるかどうか。その何かが、まさに君たちの人生を左右することになります。その何かは、人によって異なりますが、それが人によっては、この一冊という本との出会いであったり、こんなにきつい思いをしたことがないという体験であったり、立ち直れないような悔しさであったりこの上ない喜びであったりするはずです。そして、この感染症の脅威に世界がさらされている現実、このことは君たちの心にいつまでも残るでしょう。この現実をどう受け止め、それにどのように対応し、そして、次の世代にどう繋げることができたのか。自分にとって何が大切で、失いたくないものはなにか、まさに自分の価値観を作り上げていく機会となるはずです。目を背けることが出来ない現実に、今、向き合っていく覚悟が求められています。

今まで一生懸命に部活動に打ち込んできた生徒たちには、高校最後の試合、県総体に臨んでほしい。保護者の方の強い思いも感じながら、われわれ教職員も同じ思いでした。そこでしか得られない喜びや悔しさ、達成感や喪失感、そこから生まれる次への希望を感じてもらいたいと。今は、君たちの無念な気持ちに共感することしかできません。新型コロナウイルス感染症の人類への影響は、われわれ人間にとっておおきな試練です。しかし、このことは、未来を見据えた人間社会のあり方を見直す契機になり、われわれ一人ひとりにとっても自身の在り様を考える契機にもなるはずです。覚悟させ決めれば、周りにいる力強い仲間の存在も自覚でき、今、自分がやるべきことに意識が集中できるようにもなってくるはずです。生徒、教職員一緒に乗り越えていきましょう。

この記事をシェア