校長室より

「スモールステップで着実に」(第2学期終業式式辞)

2学期の終業式をむかえました。コロナ禍にあり、今学期に入っても校内での行事や県内大学・企業見学、そして海外研修旅行等当初の予定を変更せざるを得ない状況が続きました。

このような状況の中、8月29日から行われた碧燎祭は、内容を精選し時間も短縮しての実施となりましたが、生徒会執行部を中心に準備を進め、各組が団結した応援合戦や色の特徴を活かしたデコレーションそして衣装を披露してくれました。年度当初から様々な活動に制限が掛かる中で、一人一人の生徒の溌溂とした輝く姿を目の当たりにできたこと、そして保護者の方ともその時間を共有できたことは喜びでした。

部活動においては、県総体が中止になりその後の大会参加にも制限が設けられる状況は続いています。そんな中で、こんなやり取りがありました。大会に参加する際は、当日の朝、部活動単位で職員室と校長室に挨拶に来ることが恒例になっています。10月末、県新人戦に参加する女子バスケットボール部も校長室に挨拶に来てくれました。「この大会での目標は何ですか。」と尋ねたところ、「目標は二つあります。一つは、大会での1勝。もう一つは、試合以外のところでも島前高校生として自覚を持って行動することです。」とキャプテンは応えました。学校を代表して大会に臨むという自覚ある返答を頼もしく受け止めると同時に特に印象的であったのは、横にいる他の部員全員がキャプテンの一言一言にうなずいている姿でした。日頃から目標を定め、皆で確認しながら練習に取り組み、そして大会に臨もうとしていることが伝わってくる場面でした。「そうだね。校内では、女子バスケットボール部の○○さんだけど、校外に出ていけば隠岐島前高校の生徒として見られるからね。そのことをしっかりと自覚して行動しようとすることは、大会での1勝にも劣らないものが身に付くチャンスだね。」と激励を送りました。ここでも、全員が大きくうなずいてくれました。自分が所属する集団のあり方や自分の役割について当事者意識を持って考える姿勢は、確実に自分自身を成長へと繋げてくれます。

このことは当然、授業にもつながる考え方です。一つ一つの授業には必ず「ねらい」があります。先生方は、少なくとも1時間の授業の中で確実に押さえておきたいポイントを決めて授業に臨みます。生徒に身に付けさせたい力を学校の教育目標として共有し、1時間の授業の中で計画通りにできたこと、思ったように進められなかったことを振り返り、次の授業に活かせるよう取り組んでいます。授業の主体は君たち生徒です。先ほどの大会に臨むバスケットボール部員のように、主体である君たち一人一人がその「ねらい」を意識に置いて授業に臨むことができるなら、また、一緒に学ぶ仲間に貢献する責任とその仲間の援助に誠実に応える責任を自覚して授業に臨むことができるならば、社会で通用する確かな力を在学中に身に付けることが可能です。目標を達成するための一つの方法として、スモールステップ法があります。最終目標を設定し、ゴールまでにやるべきことを整理して、一つずつ小さな階段を上がっていくというやり方です。勿論、本校の少人数による教科指導においても用いている手法ですが、この効果を引き出すために大切なことは、やはり主体である君たち生徒一人一人の意識です。一つ一つの授業をスモールステップとして位置付け、自分自身が評価を繰り返すこと。授業が終わった後、「この時間は△だったな、授業に集中できなかった」とか「この時間は◎、ポイントが理解できてスッキリした」とか、大事なのは上手くいってもいかなくてもちゃんと自己評価をすることです。そして、「これはできた」とか「やればできるんだ」という上手くいったことの実感を大切にしながら小さなステップを着実に積み重ねていくことです。

この冬休みの間に2学期の取り組みを必ず振り返ってみてください。自分が思うようにできたこと、あるいはできなかったこと、まずは自分自身で自覚できるように努め3学期に向かっていける前向きな気持ちを整えてください。3年生にとっては、自分の進路実現に真剣に向き合う日々が続いた2学期です。既に内定を得た人もいますが、1月に行われる大学入学共通テストを目標にしている人もいます。最後まで粘り強く諦めない挑戦を学校全体でサポートし応援していきますので、体調管理に努めて頑張ってください。

最後に、新型コロナウイルス感染症への対応について確認をしておきます。全国的な感染状況は、冬場になり日を追うごとに深刻さを増しています。校内においては期末テストが明けた12月2日、感染防止対策の徹底を図り、万一、学校関係者に陽性者が確認された場合の対応等について共通認識を持つために、校内放送によって注意喚起を行いました。その後、今日まで「新型コロナ、感染防止対策強化期間」として、マスク着用等の感染防止につながる基本的な対策を徹底してきました。この後、改めて担当の方から冬休み中の過ごし方、体調管理等について確認をしますので、特に寮生は帰省先においても感染防止を念頭に置いた自覚ある行動を実践してください。

皆さんが充実した冬休みを過ごし、元気に3学期再会できることを期待して終業式の式辞とします。

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