校長室より

「自立、そして飛躍の一年に」(第1学期始業式式辞)

令和3年度、1学期の始業式をむかえました。春休み期間中は健康管理に留意しながら、家族や友人との大切な時間を過ごす中で、心身のリフレッシュもできたことでしょう。新2・3年生として、自覚をもって新年度をスタートしようとしている君たちの姿を、今後は様々な学習活動や部活動などの場面を通して見せてもらえることを期待しています。

コロナ禍の影響がもうしばらく続くと思われる中、昨年度と同様、学校活動に制限が掛かる状況は今しばらく続きます。しかし、今年度は、感染防止に有効な方法も取り入れながら、また、基本的な防止対策を当たり前のこととして生徒・教職員が実践することによって、生徒の皆さんの学びを保障し、さらに充実したものにしていきたいと考えています。

この春休み中、レスリング部は、3月24日から新潟県で開催された全国高校選抜大会に出場し、団体戦の初戦において地元新潟県の代表校に快勝して2回戦に進みました。2回戦では東北ブロック代表校に惜敗はしましたが、様々な大会が中止となったこの一年の最後を締めくくる大会での活躍は、今後に繋がる貴重な経験になりました。

さて、3年生は一年後、何を目指して、どこで誰と関わり、自分の将来を見据えていることでしょう。君たち一人ひとりの進路の実現は、学校にとって最も大切で、重い責任を伴うことです。既に、進路志望に向かって、計画的に準備を進めている人もいますが、まだ、進路を決めかねている人もいるようです。「人は決意によって一瞬にして変わる」と言われますが、自分の才能や能力を最大限に発揮するためには、自分の意志をはっきりと定めることが重要です。我々教職員は、これからの数か月間、君たちの真剣味ある取り組みを一丸となって支援していきます。

2年生にとっても、自分の進路としっかりと向き合う一年になっていきます。進路を真剣に考える中で、自分の中で生まれてくる問いや、他者からの問いに真摯に向き合い、悩み、そして、自分の進むべき方向性をイメージできるようにしていってください。他者と比較して劣っているところがあったとしても、それは決して恥ずべきことではありません。しかし、一年前の自分と比較して、今の自分に進歩がないとすれば、それこそ恥ずべきことと受け止める必要があります。自分の進路を念頭に置きながら、今、やるべき目の前のことに全力で取り組んでいってください。

新入生が、高校生活への大きな希望とそれと同じくらいの不安を持ちながら入学してくることは、既に経験済みである君たちにはよく理解できるところだと思います。特に、親元を離れて寮生活を送る寮生にとってその不安は大きいはずですが、先輩である2・3年生との関わりが何より心強くもあるはずです。先輩として、新入生を導いてあげてください。

新年度のスタートにあたり、次の言葉を皆さんに紹介します。「君は君 我は我也 されど仲よき」。武者小路実篤という小説家の言葉です。知っている人も多いと思いますが、私は、実家の居間に掛けられていた色紙に書かれたこの言葉を、幼い頃から毎日目にし、心の中で呟いていました。小学生の頃は、「我は我也」の也の読み方が分からず、一緒に書かれている野菜の絵を気にしながら、この色紙を見ていた記憶があります。中学に上がった頃から、読めなかった字も読めるようになり、でも、まだ言葉の意味は深く考えずに胸の内で繰り返し呟いていたように思いますが、高校に入り、親しい友人の存在を意識するようになった頃から、この言葉がしっくりときて、自分の中で大切にしたい言葉になっていきました。中学生までの誰もがそうであるように、互いに依存し合う関係性から、高校の大人の入り口にいる自分を意識し始めた頃、その頃を懐かしく思い出す言葉です。

最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の感染防止について確認をしておきます。県外からの生徒が多く通う本校において、長期休業中の健康管理および休業明けの感染防止対策の徹底は重要です。特に、これからの2週間、毎朝の体調確認、マスクの着用、咳エチケット、手洗いの励行、および部屋の換気等、感染防止の基本を徹底してください。寮内においては、最大限の警戒が必要な時期であることを再確認し、新入生を迎え入れてください。

以上、皆さんの理解と協力をお願いし、始業式の式辞とします。

この記事をシェア