校長室より

県高校総体を振り返って

県総体に出場した選手の皆さん、お疲れさまでした。

また、会場で応援をしていただいた保護者の皆様、ありがとうございました。

昨年、県総体が中止になった際には、コロナウイルス感染症の感染拡大の状況からやむを得ない対応とは思いながらも、特に、3年生にかける言葉は見当たらず、その悔しい気持ちに共感することしかできませんでした。そんな卒業生の気持ちを身近で感じていた今年の3年生を中心にしたチームの戦い、新年度、部活動全体が活性化しているように感じていたこともあり、各部の戦いを期待しながら応援しました。

前期総体のバスケットボール競技、女子は出雲商業高校と対戦。本校のチームは高校から競技を始めた部員も多く、地域の方の指導を得ながら、3年生二人を中心にチーム一丸となって日々の練習に取り組む姿が際立っている。その3年生の一人は、膝を痛めていてベンチスタート。試合は序盤から相手のペース、この試合展開の中で、相手は強い、これは敵わない、そんな気持ちがチームを支配してしまうと練習してきたことを発揮できずに終わってしまう。しかし、点差が徐々に広がっても、選手の闘志は変わらない。キャプテンを中心に、相手の厳しいディフェンスを受けながらもゴールに向かう気持ち、選手交代もままならない状態で体力的には限界に近くても試合展開に遅れまいとする意地、ベンチからの声援。残り時間5分のところで、ベンチスタートの3年生を投入。点差は大きく広がっても、勝敗とは別の目的をしっかりと自覚して臨んでいることが伝わってくる試合。残り20秒、その3年生が放ったミドルシュートが決まった瞬間、ベンチも大喜び。試合前にキャプテンから聞いた、思い描いていた通りのゲーム、いい試合だった。

男子は強豪の松江東高校と対戦。この4月に創部された男子バスケットボール同好会、この3月まで今回の対戦校の監督であった顧問の指導を受け、十人の部員は目を輝かせながら毎日の練習に取り組んでいる。試合はやはり序盤から相手のペース、前半終了時点で8対68。さて後半戦、選手一人一人がどんな気持ちでゲームに入ってくるだろう、まず、そこが気になるところ。第3ピリオド、狙えるところから積極的にシュートを打つ回数が明らかに増え、相手ディフェンスと接触しながらもドライブインでゴールに切り込むプレーも見られるようになり、良いリズムが出てきた。このピリオドで11得点。相手チームが一度に4~5人を入れ替えながら余裕を持った試合運びをする一方、こちらは大きな入れ替えはできない状況で体力を消耗しながらも、粘り強く果敢に挑んだ結果としての28得点、試合終了。得点につながらないところでも、随所に好プレーが見られ、今後の試合に期待が持てる内容であった。

レスリング競技は、コロナウイルス感染症の影響で会場を松江工業高校に変更しての開催。昨年から公式戦の中止が続く中での団体戦、緊張感も見られるがそれも当然だろう。各階級、油断をしない手堅い戦いぶりで、県総体5連覇を達成。続く個人戦、階級によっては同校対戦もあり、4階級でインターハイへの出場権を獲得。高校から競技を始めたとは思えない試合ぶりや先輩としての意地を感じさせる対戦、一試合一試合が見応えのある試合であった。6月の中国大会、8月のインターハイに向け、まだまだ伸びる自分の可能性を信じて、努力を継続してほしい。

後期総体のバレーボール競技、女子は松江農林高校と対戦。試合前、両チームがコートに入っての練習、気力が充実して試合をむかえていることが伝わってくるキャプテンの声、コート全体に響き渡っている。会場には多くの保護者の方も応援に来ていただいた。第1セット、立ち上がりから連続ポイントを許し、1-9の劣勢。こんなはずじゃないと思いながらプレーしている選手たち、しかし、笑顔があり、互いに声を掛け合いながら、雰囲気良く試合を進めることはできている。長いラリーをものにするポイントもあり、粘り強く戦えている。13-25で第1セットを終え、練習の真価が問われる第2セット。客観的に見てサーブ力でやや押されている点がゲームを苦しくしているようだ。劣勢の試合で最後まで諦めず、粘り強く戦いきれるかどうかという大きな課題、それに向き合うことはできていると感じる試合であった。第2セット、14-25で試合終了。応援席への挨拶、涙をこらえきれないキャプテンの姿、挨拶を終えた選手たちが会場を出ていくまで、その姿を見守っている保護者の方々の姿が印象的であった。

男子は、松江商業高校との対戦。第2セットからの応援になった。第1セットは19-25で取られたが、中盤までは接戦の展開で試合内容も悪くないとのこと。第2セット、レシーブがセッターに入れば連続失点を防ぎ、接戦の展開に持ち込むことができるが…。3年生エースの自信を持ったプレーがチームを引っ張り、高校から競技を始めまだ1年、2年の選手が、大きな舞台で精一杯のプレーをしている、第2セットも連取され、敗退となった。しかし、監督が代わる中で、自分たちで負荷の高い練習メニューを課し、外部コーチの支援も得ながら取り組んできたことの結果、自分たちに出来たことをしっかりと評価し、今後につなげてもらいたい。

ソフトテニス競技は、個人戦からの開始。男女個人戦は、それぞれの大将ペアの試合を応援。女子3回戦、松江西との対戦。ベスト32を掛け、中国大会への出場も視野に入れた大切な一戦。落ち着いた立ち上がりで1G目を取り、後衛のストローク力でも負けていない、単発なミスをせずにペアでゲームを進めていくことができれば優位な展開が期待できる試合。相手も伝統校、ポイントを得るごとに試合の流れを引き寄せようと大きな声をあげ、粘り強く戦ってくる。追いつかれてのファイナルゲーム、ポテンシャルでは相手を上回っても、持てる力をどれだけ出し切っているかという点において流れは相手ペア。惜しい敗戦であった。男子2回戦、出雲北陵との対戦。1G目は落とすも2G目取り返し、選手個々の力量では優位に進められると思える試合。しかし、実践経験の差、サーブ・レシーブのミスも続いて、1-4で敗戦。高いポテンシャルを持つペアなだけに、この大会、次の団体戦で納得のいく試合を期待したい。

団体戦、女子は松江東高校との対戦。第1対戦は大将ペア同士の対戦、この試合も後衛のストローク力では必ずしも負けていない、しっかりと試合を進めていければ十分に勝機ありと見られる。個人戦の悔しさを何とか晴らしてほしい、その期待感の中ゲームカウント3-2とリードして第6ゲーム、このゲームで勝ち切りたいところであったが、またもファイナルへ。相手にもミスは出る、互いにミスは出ても、一つのミスを次のプレーに引きずらず、ペアワークを大切にしてゲームを進める方に試合の流れは傾いていくもの。個人戦に続いて残念な敗戦になった。第2対戦の3年生ペア。ポイントを取るたびに拳を振り上げ、精一杯のプレーで持てる力を出し切ろうとする気持ちが伝わってくる。結果は敗戦となったが、これまで練習を引っ張ってきたキャプテンペアとして、最後の試合を戦いきってくれた。

男子は、益田翔陽高校と対戦。第1対戦、大将ペアは危なげのない試合で勝利。第2対戦の1年生ペアはリードの展開から逆転され、試合は3番勝負へ。ここも1年生ペアだが、落ち着いたゲーム運びで試合を締め、団体戦勝利に貢献してくれた。2回戦の相手は安来高校。第1対戦は大将ペア同士、相手ペアは中学時代から実績のある選手のようだが勝機はある。試合前の乱打、いい感じで打てているし、気持ちも乗っている。ゲームカウント1-1の第3ゲーム、3-1とリード、後衛が展開を作って前衛がポイントに絡むことのできるこの場面、ここで痛い2本のレシーブミス、デュースになり、アドバンテージを取る場面もあるが、二人で1本のポイントが取り切れない。この局面が試合結果を左右することになり、惜しくも敗戦。第2対戦は、1回戦で貴重な勝利をあげた1年生ペア。後衛のひたむきなプレーと前衛の安定感のあるサーブ・レシーブで善戦、ファイナルゲームの6-6までいったが惜敗。1年生2人で冬を越し、新入生4人を迎えて団体戦での1勝、今後の試合を楽しみにしたい。

軟式野球は浜田市で開催されたが、日程が他競技と重なったため、今回は応援に行くことができず残念であった。7月に開催予定の県選手権大会に、3年生も出場することから期待をしている。

最後に、県総体を終えて感じていることを一言記しておきたいと思います。全国で一位にならない限り、その他はすべてが敗者で、その一チーム以外はどこかで負ける。大切なのは、その負け試合を試合終了の最後までどう戦いきれるか、それを課題に部活動の指導に取り組んでいた頃を懐かしく思い出しながら声援を送りました。大会が近づけは、もちろん戦略も考えるところではありますが、それよりも日々の練習にしっかりと集中して、全力を出し切り、チームワーク良く取り組むこと、それが何より大切です。そして、部活動の場だけではなく、あらゆる機会において全力を出し切ること、その積み重ね、それがここ一番の大きな力に確実につながります。

勝利を目指して日々の練習に取り組んでいくわけですが、様々なハンデを抱えている本校の選手の皆さんには、勝利とは別の価値観も大切にしてほしいと思います。試合には負けても、ゆるがない日々の実践を期待します。

会場で応援することがかなわなかった保護者の皆様とは、またどこかでお話ができる機会を楽しみにしています。

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