校長室より

校歌を高らかに(第1学期終業式式辞)

1学期の終業式をむかえました。
この1学期間、学校全体で大きな事故もなく無事に今日の日をむかえることができたことをまず何より喜びたいと思います。生徒の皆さんは、学期の境目であるこの機会に、4月以降の自身の生活を振り返り、2学期の取り組みにつなげてください。

4月に赴任して以来、他校では経験したことがない本校独自の様々な活動を目の当たりにしてきました。それらの活動において、学校の独自性を最大限に発揮するために、多くの時間を費やして準備をし、実践に向かっていく生徒や教職員の姿は実にたくましく、誇らしくさえ感じています。
特に、全学年で取り組んでいる「夢探究」での様々な体験を通して得られる気づきは、生徒の皆さんを大きく成長させています。チームで協働的に課題解決にむかう姿勢や大きな舞台でも堂々と物怖じしない態度は、経験がなせるわざであり、そういう在校生・卒業生の姿を見るにつけ、探究活動を通して身に着いている力というものを実感します。1・2年時、自分自身と向き合い、仲間と協働しながら取り組んできた成果を3年生は今、進路実現にむけて存分に発揮する時期を迎えています。

ここで、一冊の本を皆さんに紹介します。「生き方 ~人間として一番大切なこと~」という本で、著者は稲森和夫という日本を代表する実業家です。次はその抜粋です。

「世の中のことは思うようにならない ―私たちは人生で起こってくるさまざまな出来事に対して、ついそんなふうに見限ってしまうことがあります。けれどもそれは、「思うとおりにならないのが人生だ」と考えているから、そのとおりの結果を呼びよせているだけのことで、その限りでは、思うようにならない人生も、実はその人が思ったとおりになっているといえます。人生はその人の考えた所産(作り出されるもの)であるというのは、多くの成功哲学の柱となっている考え方ですが、私もまた、自らの人生経験から、「心が呼ばないものが自分に近づいてくるはずがない」ということを信念として強く抱いています。つまり実現の射程内に呼び寄せられるのは自分の心が求めたものだけであり、まず思わなければ、かなうはずのこともかなわない。いいかえれば、その人の心の持ち方や求めるものが、そのままその人の人生を現実に形づくっていくのであり、したがって事をなそうと思ったら、まずこうありたい、こうあるべきだと思うこと。それもだれよりも強く、身が焦げるほどの熱意を持って、そうありたいと願望することが何より大切になってきます」と言っておられます。すべての始まりは、強い「思い」。その「思い」は、いわば種であり、人生という庭に根を張り、幹を伸ばし、花を咲かせ、実をつけるための、もっとも最初の、そしてもっとも重要な要因です。

 

話を変えて、最後に皆さんに夏休みの課題を一つ与えます。それは、校歌です。校歌のことについては、入学式でも少し触れましたが、本校校歌の歌詞は分校定時制の1期生による合作で、この島前地域で学ぶことの喜びと誇りを感じさせる内容です。夏休みの課題として、自分自身で校歌の歌詞の意味を考えてみてください。何回も何回も口ずさみながらその歌詞を脳裏に刻み、味わってみてください。そして、校歌をしっかりと歌い上げることの意義についても皆さん一人一人が考えてみてください。私が考える校歌の意義は、全国から集った生徒たちが、多様性を尊重する本校において、心を一つにして仲間意識を共有できるもの。そして、4,000名を超える先輩と今後皆さんの後輩になっていく人たちをつなぐことができるもの、そのように受け止めています。全校で校歌を歌える機会はそう多くはないですが、生徒・教職員一緒になって高らかに校歌を歌いましょう。

最後になりますが、皆さんが充実した夏休みを過ごし、元気に2学期に再会できることを期待して終業式の式辞とします。

この記事をシェア