インタビュー特集

【生徒インタビュー】――きれいな海を未来へ!海ごみからポロシャツを作る高校生のリアルな試行錯誤と成長の記――

今回は、隠岐島前高校3年生の中谷莉緒さんと岩崎和奏さんのインタビューをお届けします。

地域共創科の2人は授業の一環として島の海ゴミ問題に着目したプロジェクトを行っています。授業内に留まらず挑戦する2人の熱い想いに迫ります。

 

「地域課題に挑戦する高校生の声を聞きたい!」「高校島留学で高校生はどんな風に変わるんだろう?」と気になっている中学生や保護者の皆様、ぜひご覧ください。

 

二人が取り組んでいる、海洋ごみや家庭ごみのペットボトルから「島のポロシャツ」を作るアップサイクルプロジェクトの概要や、プロジェクトの全容・クラウドファンディングの支援方法については、既に公開されている公式Notion記事 海をまもる、モノをつくる。 や CAMPFIRE クラウドファンディングページ で詳しく紹介されています。

 

  1. 「通る人みんなが挨拶してくれた」「一番の理由は直感と好奇心」――島留学を決めたリアルなきっかけ

――まずは自己紹介をお願いします!

岩崎さん: 島前高校3年の岩崎和奏です。東京出身で、中学卒業まで東京で育って島留学で来ました。高2から地域共創科に進んで、りおと一緒に海洋ごみをテーマにしたプロジェクトをやっています。

中谷さん: 3年の中谷莉緒です。出身は京都で、同じく高2から共創科に入り、わかなと一緒に海洋プラスチックのプロジェクトをしています。

――お二人とも東京・京都という都市部からの島留学ですが、なぜ隠岐島前高校を選んだのですか?

中谷さん: 私は4個上くらいの知り合いが島前高校に通っていて、色々話を聞いていたのがきっかけです。小学6年生の時に大阪で開催された説明会にお母さんと一緒に行きました。お母さんが「自分が高校生ならこの学校に行きたい!」と言っていて(笑)。決定打になったのは中学2年生の時の訪問です。旅行感覚で島に来たのですが、知らない人なのに通りすがる島の人たちが全員「こんにちは」って挨拶してくれたんです。私の育った街では見知らぬ人に挨拶したら「え?」って顔をされるので、その温かさに感動して「絶対ここに行きたい!」と決めました。

岩崎さん: 私は中学2年生の時に学校で配られた「地域みらい留学」のチラシがきっかけです。チラシのQRコードを読み込んで色んな学校を見ていて知りました。元々海が好きで、家族旅行で伊豆諸島とかに行っていて「海が見える街に住みたいな」とは思っていたのですが、高校で行くとは思っていなくて。中3でオープンスクールに行った時も「自分がこの高校に行くんだ」という自覚は全くなく、旅行気分でした。合格が決まっても実感が湧かなくて、寮に入る1週間前になって「あ、やばい!」って焦ったくらいです(笑)。だから理由を聞かれたら一言で言うなら“好奇心”って答えています。

 

  1. 「1人で外を出歩けなかった」「島親さんがグループLINEに流してくれた」――超人見知りからの変化

――島での生活を経て、自分自身で「変わったな」と感じるエピソードはありますか?

中谷さん: 私は1年生の頃、本当に「超人見知り」だったんです。1年生の時はわかなとも全然話したことがなかったし、2年生でプロジェクトを始めた時も大人の前で全く喋れなくて。でも、この学校は先生との距離がすごく近くて、相談するとヒントや答えをちゃんと返してくれます。そして何より、地域の大人の人たちが高校生のプロジェクトに対してすごくウェルカムなんです。

具体的なエピソードがあって、今回のクラウドファンディングのことを自分の「島親さん」に話したら、「じゃあ知人のグループLINEにも情報流しとくよ!」ってすぐ協力してくださって。前に関心があるって話した内容を覚えていてくれて、「こんなイベントあるから来ない?」って声をかけてくれたりもします。地域の方が学べる機会を作ってくれる環境のおかげで、セブ島(フィリピン)に貧困の勉強をしに行ったり、「やってみたいと思ったことはやってみよう」という行動力がつきました。

岩崎さん: 私も本当に人見知りで、東京に住んでいたのに1人で東京の街を散歩することもできなかったんです。友達を誘わないと遊びに行けなかったのが、今では休日に暇だったら1人で散歩に行けるようになりました。3年間という限られた時間だからこそ、「今しかない機会を大切にして、思い立ったらすぐ動こう」と行動できるようになりました。

 

  1. 発泡スチロールも漁網も失敗…!?ポロシャツにたどり着くまでのリアルな裏話

――既存記事ではペットボトルからポロシャツを作る話が取り上げられていますが、そこに至るまではいかがでしたか?

岩崎さん: 高1の時、地域の方に声をかけられて、自然や国際に興味があるメンバーで「高校生サークル【WAIRA ACT】」というサークルを始めたのが原点です。最初は毎月海岸清掃をしてゴミの量や種類を分析していました。

中谷さん: 高2で本格的にプロジェクトになったのですが、最初は「ゴミを減らすには拾いまくるしかない!」と思って一生拾っていたんです。でも、拾ったゴミは結局焼却処理されてCO2を出すし、次の週に行ったらまた新しいゴミが打ち上げられている。いいことをしているはずなのに「これって本当に意味あるのかな?」と悩みました。そこでターゲットを「ゴミ」から「島の人たちの意識」に変えようと決めたんです。

――なるほど!ターゲットの変化がポロシャツづくりに発展したのですか?

中谷さん: はい、でもポロシャツづくりは失敗の連続でした!最初に目をつけたのは、海岸で一番厄介だった「発泡スチロール」です。大きいのから粉々のものまであって、これをアップサイクルしようとしたのですが加工が難しすぎて断念しました。

次に「漁網」をどうにかしようと考えました。でも、隠岐の漁網は単一のポリエステル素材ではなく、複数の異なる素材が練り込まれて作られていると教えてもらって。「素材を綺麗に分別しないとアップサイクルできないよ」と言われて断念しました。

岩崎さん: 「次は何にしよう…」と行き詰まった時に「ペットボトル」を思い出しました。ちなみに海士町って、役場の人も学校の先生も地域の人も、みんな日常的にポロシャツを着ているんですよね。「一番馴染みのあるポロシャツにごみを生まれ変わらせれば、着るたびに海ごみ問題に思いを馳せてもらえるし、島への愛着も深まる」と思いついたんです。

岩崎さん: 素材が決まってからの行動も大変でした。去年12月にブータン探究の報告会で町議会に行った際、議員さんたちに「ポロシャツを作るためにペットボトルが必要です!分けてください!」って直接お願いしたんです。そうしたら議員さんが役場の環境整備課や清掃センターに繋いでくださって、センターに溜まっていたペットボトルを提供してもらえることになりました。

 

  1. 文化祭を飛び出してマレーシアへ――「17番のパートナーシップ」が教えてくれたこと

――高校生活最後の文化祭(体育祭)を途中で出て、マレーシアの国際シンポジウム(APGN)に参加されたそうですね!

岩崎さん: はい、文化祭1日目だけ参加して、2日目からマレーシアへ行きました(笑)。最後の文化祭を最後までいられないのは寂しかったですが、「今しかない機会を逃したくない」という思いで飛び出しました。

中谷さん: 日本のジオパークからの高校生発表は私たち隠岐と室戸(高知)の2組だけでした。現地のブースで10分間の英語プレゼンを行ったら、外国の研究者や海外の高校生から「一緒に同じような活動をやらないか!」とたくさん声をかけてもらえて嬉しかったです。

岩崎さん: 一番印象に残っているのは、最終日のSDGsワークショップです。自分たちの活動写真をSDGsの1〜17番のどこに繋がるか配置する作業があったのですが、ある参加者の方が「APGNのNはネットワーク。海洋ごみ問題は14番(海の豊かさを守ろう)に目が行きがちだけど、17番(パートナーシップで目標を達成しよう)で世界中が繋がり合うことが一番不可欠なんだ」とおっしゃっていて、ハッとしました。国や地域を超えて手を取り合う大切さを肌で実感できた経験でした。

 

  1. 「美しい海を守れるのは、住んでいる私たち」――これからの挑戦

――最後に、読者やクラウドファンディングへのメッセージをお願いします!

岩崎さん: 東京にいた頃はテレビの中の遠い世界だったごみ問題も、島に来て深刻さを実感しました。まだごみ問題に興味がない人でも、仕事や学校で日常的にポロシャツを着ることで、「あ、これ海ごみから作られてたんだ」と後から気づいて環境保護の輪が広がったら嬉しいです。ぜひ一緒に仲間になってください!

中谷さん: 初めて隠岐の海を見た時、その美しさに圧倒されました。でも海岸清掃をしてみたらゴミだらけで……。この綺麗な海を守れるのは、ここに住んでいる私たちしかいません。私たちが作るポロシャツが、みんなが海の魅力を守るために行動を起こす「最初のきっかけ」になればと思っています。

 

 

📣 【クラウドファンディングで挑戦を応援しよう!】 2人が進める「海ごみと家庭用ペットボトルから作るポロシャツプロジェクト」は、9月30日までクラウドファンディングを実施中です。二人の熱い想いやリターンの詳細は、ぜひ以下のページをご覧ください!

👉 海を守りたい。高校生が挑む海ごみアップサイクルプロジェクト – CAMPFIRE

 

(取材・文:隠岐島前高校事務 三坂綾美 2026年9月)

この記事をシェア