インタビュー特集2026年10月9日 (金)
「本気で向き合う大人がいる。島全体で生徒の未来を育む、熱く温かい学び場」 ――教員、親、魅力化スタッフがワンチーム!校長・教頭が語る「みんなで全力になれる」隠岐島前高校の魅力――
「親元を離れた島での生活で、我が子は成長できるだろうか」「安全や学習面のサポートは大丈夫だろうか」など島留学を検討される保護者の皆様にとって、環境への不安はつきものではないでしょうか。
隠岐島前高校では、学校・寮・地域・魅力化スタッフがワンチームとなり、生徒一人ひとりの「やってみたい」に寄り添い、失敗すらも成長の糧とする温かい文化を育んでいます。 今回は、伊藤尚子校長と大田修子教頭のお二人に、学校のビジョンや生徒たちのリアルな姿、そして現場での手厚いサポート体制について語っていただきました。お二人の温かな人柄と信頼の絆から見えてくる、隠岐島前高校の「いま」をお届けします。
01:「おはぎ」と「新米おにぎり」がパワーの源!お二人のチャーミングな素顔
- まずは自己紹介を兼ねて、お名前とご出身、そして好きな食べ物を教えてください!
伊藤校長: 伊藤尚子です。島根県松江市の出身です。好きな食べ物は……挙げればキリがありませんが、やはり「あんこ」ですね。おはぎ、大判焼き、アンパンにアンバター……。葉っぱで包まれた「まき餅」はもうドストライクです(笑)。
大田教頭: 大田修子です。島根県西部の邑智郡出身です。私の好きな食べ物は、シンプルに「おにぎり」です。新米の季節になり、実家がお米を作っておりますので、送ってもらった新米を使って。具にこだわりはありませんが、やはりおにぎりが一番好きです。
02:これまでの経歴と出雲高校での運命的な出会い
- お二人とも島根県ご出身で、これまでどのようなキャリアを歩んで来られたのでしょうか?
伊藤校長: 私は県内の高校勤務のほか、「ふるさと島根定住財団」へ出向し、U・Iターン推進や高校卒業後の島根県との繋がりづくりの支援に携わりました。また学校企画課では、コロナ禍における学校対応などにも取り組んできました。そうした歩みの中、前任の出雲高校で大田先生と出会ったんです。
大田教頭: 私も学校現場に加え、教育委員会の保健体育課で部活動指導員制度の構築に携わったり、子ども安全支援室での生徒指導に関する仕事、さらにはインターハイや「2030年国スポ」の準備業務など、学校外の立場から教育を支える経験もしてきました。 そんな中、出雲高校で伊藤先生と同じ学年部になり、隣のクラスの担任同士として出会いました。伊藤先生は睡眠時間を削っても書類のミスが一切なく完璧で、当時から大きな衝撃を受け、リスペクトしていました(笑)。
03:地域・保護者・生徒との温かい結びつき
- 隠岐島前高校の印象や特色について、どのように感じておられますか?
伊藤校長: 一番はっきりと感じるのは、教職員の年齢層がすごく若いことです。その分フットワークも軽いですし、「やってみよう」という活気があります。職員会議や進路検討会でも、若い先生方が黙って聞いているだけでなく、「こんな風に思います」「どうですか?」と積極的に提案してくれます。
大田教頭: 毎日感動することが多いのですが、特に学園祭や球技大会ですね。学園祭で地域や保護者の方々がこれほど一緒になって参加される学校は他にないと思います。保護者が出場する綱引きや玉入れも「生徒には絶対に負けんぞ!」と本気で挑まれていて(笑)。先生方もグラウンド整備(草刈り)などを惜しみなく、「行きますよ」と気軽に引き受けて動いてくださり、人間の心を揺さぶられる瞬間がたくさんあります。総じて、生徒が色々な活躍の場を踏んで、大人も真剣に向き合っているということをとても感じていますね。
伊藤校長: 圧倒的に違うのは地域との結びつきですね。先程の人間性溢れるところは島の雰囲気や環境が影響しているのかもしれません。学校だけではなく地域一体になり海士町はもちろん、西ノ島や知夫里島含め、地域全体で学校や生徒を温かく支えてくださり、感謝しかありません。
04:「グローカル人材」の育成と生徒たちの飛躍
- 生徒と教員の目指したい人材像にある「グローカル人材」の育成について、どのような想いをもたれていますか?
伊藤校長: ローカル(島)の独自性を大事にしてほしい一方で、島の中だけに留まらず外(全国・世界)へ視野を広げてほしいという想いがあります。島内の子は外を見ることで島の良さに改めて気づき、島外から来た子は島で得たものを糧にさらに日本各地や世界に視野を広げていく、、、その両方を大事にしてほしいですね。
大田教頭: 生徒たちの挑戦の姿勢もすごいです。海外留学から帰ってきた生徒や、ベトナム・マレーシアから来る海外の生徒との交流も盛んです。今の2年生などは入学当初から「起業したい」「海外留学したい」「国会議員になりたい」と大きな夢を語る子が多くて驚きました。
伊藤校長: 県外から来る島留学生にとって、島暮らしそのものが一種の「異文化体験」ですよね。ただ、この多様性の時代において、自分とは異なる文化や多様な考え方に触れ、それを柔軟に受け止めていく経験は、生徒たちにとって非常に貴重なものだと感じています。島外から来る子たちはとにかくチャレンジ精神が旺盛で、次のステップへ飛び込むことに抵抗がありません。そうした姿が刺激となり、地元の島内の子たちの背中を自然と押してくれるんです。島内の子たちは最初「自分にもできるかな」と不安を抱いていることもありますが、様々な経験を重ねる中で見違えるようにたくましくなっていきます。隠岐島前高校での3年間で見せる生徒たちの成長スピードは、本当にすごいものがありますね。一箇所に留まらず、島の外やさらに広い世界へと柔軟に視野を広げていけるようになるのは、この環境ならではの事だと感じています。

05:「地域共創DAY」の探究学習における「自由」の難しさ
- 2年次以降、地域共創科を選択した生徒は「地域共創DAY」があると伺いました。木曜日の探究学習など、独自の学びについても教えてください。
伊藤校長: 赴任前に外部として見た時は「1日中、何をやっているんだろう?」と思っていたのが正直なところでした(笑)。しかし実際に来てみると、生徒にとって「何をやっても良い」というのは一番難しいことなんだと実感しました。自由だからこそ壁にぶつかり、葛藤しながら自分のやりたいことを見つけていく力がついていきます。
大田教頭: 自分が教員時代に教えていた探究学習では正解が分からず悩んでいましたが、ここに来て「うわ、これが本物だ」と感動しました。生き生きと壁にぶつかりながら取り組む生徒の姿から、私たち自身が学ばせてもらっています。
そして何より「高校魅力化コーディネーター(スタッフ)」の皆さんの存在が大きいですね。私たちは彼らを「戦友」だと思っています。教員とは異なる角度から生徒の背中を押し、時には私たち教員にも新しい視点を与えてくれる、欠かせないパートナーです。
06:受験生・保護者・未来の仲間へのメッセージ
- 最後に、島前高校に興味を持ってくださっている方々にメッセージをお願いします。
大田教頭: 本当に温かい人たち、そして豊かな環境に恵まれた学校です。私自身、この場所で皆さんと過ごせることを心から幸せに感じています。皆さんとお会いできる日を、心待ちにしています。
伊藤校長: 私がいつも生徒に投げかける問いがあります。それは「汝 何のためにここにありや」です。この3年間で、誰かの正解ではなく、自分なりの答えを探してほしいと思います。また、はじまりの書には『そんな船出ができる島前とはどのような場所なのでしょう』という文言があり、船を漕ぎだして新たに紡がれていく3年間でどのような景色が見えるのか一緒に見たいという気持ちもあります。是非、隠岐島前高校で素敵な3年間を一緒に過ごしましょう。
(取材・文:隠岐島前高校事務 三坂綾美 2026年9月)
