校長室より

令和6年度卒業式 校長式辞

2月末までの寒波が緩み、ここ島前の島々にも、あたたかな春の息づかいを感じられるようになりました。今日からレインボージェットも春ダイヤでの運行が始まり、高校下のレインボービーチにも、波が穏やかに寄せてくるようになりました。

 

本日は、隠岐島前高等学校の魅力化と永遠の発展の会 代表 大江和彦 海士町長様をはじめ、多くの来賓の皆様のご臨席を賜り、また、保護者の皆様、島親の皆様にもご来場いただき、令和6年度卒業証書授与式を盛大に挙行できますこと、卒業生はもとより、私たち教職員、ならびに在校生にとって大きな喜びです。心からお礼申しあげます。

 

保護者の皆様におかれましては、期待と不安、喜びとともに葛藤し、心配もされながらの3年間ではなかったでしょうか。ですが、本日のお子様の成長された姿に感慨もひとしおのことと存じます。ご卒業を心よりお慶び申しあげますとともに、これまで本校に対して様々なご理解とご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 

島親の皆様ならびに地域の皆様 卒業生が晴れやかに凛とした姿で巣立っていくことができるのも、彼らひとり一人を見守り、支えてくださいました皆様のおかげです。心より感謝申しあげますとともにお礼申しあげます。ありがとうございました。

 

さて、卒業生の皆さん あらためて「卒業おめでとう」

 

静かに振り返ってみてください。どんな3年間でしたか。そして、どんな高校生活でしたか。卒業の日を迎え、この会場にいる今、どのような景色が見えていますか。今日、見えている景色は、皆さんひとり一人が、思い描いた未来になっているでしょうか。

 

皆さんは、入学時からコロナ禍での学業や部活動、学校行事を余儀なくされた学年でした。ようやく2年生のゴールデンウイークあけに5類に移行したとはいえ、各自の行動や地域の皆さんとの交流も制限された中で前半の高校生活が続き、いわゆる「当たり前のこと」が満足に体験できない日々もあったでしょう。

 

ですが、昨年四月に赴任してきた私から見た皆さんは、「踏み込みの島前」を体現してきた学年でした。例えば、皆さんが1年生の時に、本校では「失敗の日」を定めました。「失敗を共に称え合う学校」の掛け声のもと、「踏み込み」と「振り返り」の文化を学校に根付かせ、挑戦と失敗を重ねながら高みを目指す学びを繰り返してきた、そんな学年だと思っています。

そして、皆さんの代には、新たな学科、地域共創科が創設されました。普通科のみなさんとともに、新しい時代の「島前高校」の第一歩を踏みだした学年でした。

 

さて、皆さん、いよいよ次の舞台に進むときがやってきました。

 

皆さんの中にいる、「何かしたい」と思って、何か大きなことをしようとしているあなた。自分の周りにあるものを少し変えたら、意外と大きなことができるかもしれません。あなたが頑張っているところを、誰かが見てくれています。そうしたら、あなたに協力してくれる人が必ず出てくると私は信じています。

ちょっとずつ、少しずつ変えて、頑張ってみるといいのではないでしょうか。その小さな積み重ねが、きっと大きなことにつながると思います。そんなバタフライ・エフェクトを期待しています。

 

また、やりたいことが明確な人もいる一方で、やりたいことが明確でないあなたがいるとしたら、もう一つメッセージを送ります。

先人からは「受動的主体性」というヒントをもらっています。これは、「声をかけられたら断らずにやってみる」ということだそうです。声をかけてくれる人は、あなたのことを信じているからこそ、声をかけているのです。

まずは「誘われたら断らずにやってみる」をテーマに、動いてみたらどうでしょう。

 

皆さんが卒業する本校は、先日行われた衆議院予算委員会の中で取り上げられた、地域を巻き込んで進めてきた様々な取組を評価された高校の一つでもあります。残される私たちも、皆さんのこれからの新生活での様々な挑戦と同様に、地域とともに踏み込み続ける学校であり続けたいと思います。

 

結びに、卒業生の皆さん 本校で、この島前の地で、高校生活を送ることを選んでくれて、本当にありがとう。

校歌の歌詞にあるように、清く、直く、強く、伸び続けてほしいと願います。そして、「意志ある未来」のつくり手として、「志を果たしに いつに日にか帰らん」ことを期待しています。

 

それでは、行ってらっしゃい。

 

令和7年3月1日

島根県立隠岐島前高等学校 校長 登城智宏

 

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