校長室より2025年10月27日 (月)
隠岐島前高校70周年記念式典 校長挨拶
隠岐島前高校70周年記念式典の校長挨拶です。
挨 拶
鏡の名負う碧き海 仰ぐ家督乃峰の雲
本日、このよき日に、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに島根県立隠岐島前高等学校創立七十周年記念式典をこのように盛大に挙行できますことは、本校にとって大きな喜びであります。高いところからではございますが、ご臨席いただきました皆様に心より御礼を申し上げます。
また、これまで本校の教育を推進し、数々の偉業を成し遂げ、その発展に多大な貢献をなされた皆様に対し、この記念すべき場をお借りし、深い敬意と感謝の念を捧げたいと思います。
さて、本校は、今から七十年前の一九五五年、昭和三十年四月一日、地域住民の熱意によって島根県立隠岐高等学校島前分校として、悲願の開校を果たしました。分校は定時制という当時の国の法文を住民の皆様の働きかけで改正させ、一九五八年、昭和三十三年に、全国で初めて定時制から全日制分校へ移行しました。その後も熱心な働きかけを続げ、一九六五年、昭和四十年についに念願であった島根県立隠岐島前高等学校として自立を果たしました。
二〇〇〇年代初めには過疎化による地域の衰退、人口減少に伴う生徒数の減少で学校存続の危機に直面しました。1学年1学級の苦しい時代もありましたが、二〇〇九年 平成二十一年に隠岐島前高等学校魅力化構想を打ち出され、様々なプロジェクトがスタートしました。
お陰をもちまして今では全国から毎年「島前高校で学びたい」と入学を希望する中学生が多数おり、離島中山間地域の先駆者として地域みらい留学でその名を知らぬものはいない全国でも名高い高校となりました。このあとの記念講演ではそのあたりがまた詳しく聞けるのではないかと思っております。
本校の卒業生は約四千四百名を超えるほどになりました。跡を継ぐ在校生は、開校以来の校訓『真理・理想・進取』つまり「真理に根ざし、理想を掲げ、新しいことに自ら進んで挑戦する」を胸に、島前高校生としての誇りを持って日々の教育活動はもちろんのこと、校外での活動にも真摯に取り組んでいます。ここでしかできない魅力ある教育活動の意義をかみしめ、教職員一同、生徒と一緒になって、健康で、情操豊かなグローカル人材の育成を目指します。幾度の困難を乗り越え、ここまで築き上げてこられたものを、次に繋いでいくことが、今現在をここで過ごす者の重大な責務と考えます。今後も、支えてくださっている方々への敬意と感謝の念を忘れず、「意思ある未来」の実現に向けて、地域の皆様と思いを一つに共に次の一歩へ踏み出し、島前高校のさらなる発展に力を尽くして参ります。
あゝ 美(うるわ)しきこの島に 進取の偉業をしのびつつ 強く伸びよう 永久(とこしえ)に
最後になりますが、この創立七十周年記念事業にあたり、家督会前田会長を筆頭とする多数の実行委員会の皆様に大変なご尽力をいただきましたこと感謝申し上げますとともに、本校に多大なご支援を賜り、ご臨席をいただきましたすべての皆様に感謝の意を表し、挨拶といたします。
令和七年十月十八日
島根県立隠岐島前高等学校
校長 伊藤尚子
