グローバルな挑戦

グローバル探究2019 in ブータン その3

チュカ県での3日間のワークショップを終え、高校生4人はブータン南西部の「ハ」という町に移動します。休憩も取りながら、車に乗ること約5時間、のどかな田園風景が広がってきました。

ハでは、2日間に渡って自分たちでテーマを決めた探究活動を行います。今年のテーマは「死生観の違いが、幸せにどのような影響を与えるのか?」というもの。ブータン人の思想の根底に流れるものを探究したいという想いから、日本や島前地域との違いも含めて、これまで事前調査をしてきました。

ハで最初に訪問したのは「ラカン・カルポ」というお寺、お坊さんを育てるための僧院学校でもあります。ここでは、死生観や宗教観について、何人かの方にインタビューをさせていただきました。

「なぜお坊さんになろうと思ったのか?そのきっかけは?」
「死ぬことは怖いと思うか?生まれ変わりを信じるか?」
「もし生まれ変わるとしたら、どうなりたいか?」

など、質問は尽きません。

ブータンの伝統衣装「ゴ」を着て、インタビュー

英語でのコミュニケーションも少しずつ慣れてきた様子で、気づけば30分近く話しこんでいました。そして最後はお寺の中に入り、両手・両膝・額を地面につける、五体投地(ごたいとうち)という仏教において最も丁寧な礼拝方法でお祈りをし、読経の時間にも参加をさせて頂きました。静かで神聖な空間に心が洗われます。

その後は、ブータンで仏教の聖地の一つとも言われる崖の上にあるお堂「ジュネダ」を目指し、傾斜のある山道を往復1時間以上かけて歩きます。そしてようやくたどり着いた崖の上では、この場所に2年近く住む住職さんのお話を伺いました。

現代はモノへの執着、そして家族、友人、恋人など、人への執着がつよくなりがち。それを否定するわけではないが、ここで修行をし、お祈りを続け、自然と向き合うことで、自分が持っている執着を手放していきたいと思っている。家族と離れて1人ここで暮らしているが、今自分は幸せです。

 

そんな話を静かに、ゆっくりとお話をされる姿が印象に残りました。

ジュネダからの帰り道、みんな本当によく歩きました

そして山を降りてからも探究は続きます。夕方には、町中で街頭インタビューを行いました。事前に日本で作成した死生観や、死生観と幸福感のつながりを調査するためのアンケートシートも使いながら、この日は総勢50人近くの方の声を聞くことができました。

最初はなかなか一歩目が踏み出せなかった街頭インタビューも少しずつ慣れてきた様子で、英語が伝わらない高齢のブータン人の方には、現地の「ゾンカ語」で、ガイドさんにも手伝ってもらいながら、調査を進めていきます。

日本との違いとして、ブータン人の9割近くが「生まれ変わりを信じている」という死生観の違いについての結果や、ブータンの都市部と、ハのような田舎で、幸福度や、何に幸せを感じるかという点に違いがあるのではないか?という仮説も見えてきました。

一方で、死生観と幸福感のダイレクトな相関関係を捉えるのは、他の変動要素が大きくむずかしいということも、あらためて感じました。

そういう意味では、死生観の違いそのものを深掘りして行く方向性も探究としてあるのではという話にもなりました。

ハでは、下校途中の高校生にもインタビュー

ようやく1日の活動を終えた後、夜はホームステイ先の農家さんのご自宅へ。ブータンの暮らしを知り、ブータンの家庭料理を味わいます。

最初はブータン料理の辛さに面食らっていた様子の4人でしたが、徐々に辛さにも慣れてきたのか、食事がどんどん進みます。

食事が終わった後は、お茶を飲みながら、ホームステイ先のお父さんに、ホームステイを受け入れようと思ったきっかけや、その中で感じた変化などについてもお話を伺うことができました。

床に座り、みんなで料理を囲むのがブータンスタイル

島前校生も少しずつブータン化?してきました

そして、日本を出発してからあっという間に1週間近くが過ぎ、探究活動もいよいよ終盤に入ってきました。良くも悪くも慣れが出るタイミング、最後まで、もう一押し頑張っていきたいと思います。

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