校長室より

令和5年度卒業式 校長式辞

菱浦港も海の色が明るさを取り戻し、鳥のさえずりや咲きほころびだした花々にも 確かな春の息吹が感じられる今日のこのよき日を迎えることができました。

本日は多くの来賓の皆様のご臨席を賜り、また島親の皆様方にもご来場いただき、久方ぶりに盛大な卒業式を挙行できますこと、卒業生はもとより、私たち教職員及び在校生にとって大きな喜びです。まずはお礼申し上げます。ありがとうございます。

保護者の皆様におかれましては、新型コロナウィルスの状況を含め、様々心配されながらの3年間、今日のお子様の成長された姿に感慨もひとしおのことと存じます。ご卒業をお慶び申し上げ、これまでのご理解とご協力に深く感謝申し上げます。

さて、卒業生の皆さん あらためて「卒業おめでとう」 思い返せばこの学年はオンラインでの入学式でのスタートでした。皆さんは入学時からコロナ禍での学業や部活動を強いられ、海外研修旅行などの学校行事も予定通り行われず、地域の方々との交流も制限された中での生活が続き、いわゆる「当たり前のこと」が体験できない日々を過ごしました。

ですが、私から見て皆さんは常に前向きな努力を重ねた学年でした。覚えていますか?あなた方が二年生の時の三学期始業式 私は『皆さんの学年は、とてもアイディアマンが多くて、前向きです。生徒会活動や探究活動等のあらゆる場面で前へどんどん進んでいこうという力強さを感じます。まさしく本校スローガンの「踏み込みの島前」を感じさせる2年生ですね。』と伝えました。

そのようなあなた方へのエールとして、継続して何を伝え続けていたのか、それは「元気」という言葉でした。「元気があれば、おおよそのことはできる」と伝え、昨年の体育祭で「1/2/3ダァー」と一緒に声を上げましたね。平素は私が校舎内で皆さんとすれ違う時、「おはよう!」「お疲れさま!」という挨拶に加えて、かなりの頻度でかける言葉は「元気か?」でした。「元気」という言葉は、体が健康ということはもちろん、加えて前向きな心が満ちあふれているさまと言われています。皆さんが様々制限も多い中にあっても前向きな心を失わないようにという願いからのエールでした。どうでしたか、少しは効果あったでしょうか? 様々な場面での皆さんのはつらつさと笑顔は印象に残っています。皆さんの姿勢に後輩も必ずや続き「踏み込みの島前」をますます強め、「失敗を共に称え合うことのできる学校」を作ってくれると信じています。

さあ、皆さん、いよいよ次のステージへ進むときがやってきました。私から一つ伝えたいことがあります。それは「人生のカンペ」も利用しようです。ここで述べる「カンペ」は決して負のイメージのものではありません。あることにチャレンジしようと思った際に、参考とすべき「先輩たちが歩いてきた『みち』」 すなわち「人生のカンペ」山ほどあるはずです。その内容は大変複雑かもしれませんが、記録に残され、オープンにされており、場合によっては直接話を聞くこともできるから、そこをたどって歩けます。人間はとかく人と違うことをしたい、と思いがちですが、私の経験からは実は人と同じことをする方がはるかに難しいのです。私も「マナブはマネル」といい聞かせ、教師としてスタートした際にはまず先輩のやり方をまねるところからでした。ですがなかなか…。話し方や間の取り方、身振りや手振り、形だけ真似できても結果は全く違うもの。なぜか、それは情熱・パッションが追いついていない、また自分自身の得意不得意に気づいていないと感じました。試行錯誤を繰り返すうち、十数年経過した際に自分のオリジナリティーができはじめたと感じています。

どうか、新たな自分を発見、そして個性を発揮するためにも、人生のカンペも参考としながら歩むことも経験してみてはどうですか。

さて、皆さん、いよいよ本校を巣立つときが来ました。社会は君たちを必要としています。島前高校での学びに誇りを持ち、前進を続けてください。今後、益々の飛躍を期待しています。

最後に、卒業生の皆さん この学校で この島で 学ぶことを選んでくれて、本当にありがとう。

 

令和6年3月1日

島根県立隠岐島前高等学校 校長 野津孝明

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