校長室より

1学期終業式講話「どんな景色が見たいですか」

少し前になりますが、知夫に行き、赤ハゲ山に上ってきました。ノダイコンの花がちょうど見ごろを迎えそうだ、というインターネットの(観光に関する)記事を読んだこともあり、衝動的に思い立って、山頂付近に自生するノダイコンの花を見たくて、上りに行きました。

来居港で電動自転車をお借りし、日ごろの運動不足もあって途中でゼイゼイ言いながら、なんとか展望所にたどり着くことができました。

着いた頃には汗だくで、息も絶え絶えでした。早速、見晴らしのいい方向を探したものの、日ごろの行いが良くないせいか、運が悪いためか、そもそもその日は曇って風も強い日でした。黄砂の影響もあってか、いまひとつ視界がぼんやりしたままで、頂上から見る西ノ島も中ノ島もくっきりとは見えませんでした。

少し残念な気持ちを持ったまま頂上で休んでいると、観光でお見えになったとおぼしき女性数名のグループのお一人が、「歩いて登ってきたのですか」と驚いたような声で話しかけてこられました。「いえ、自転車で」と電動バイクを指さすと、ご納得の表情に。

自動車で帰って行かれるグループを見送って、私も自転車で坂を転げ落ちそうなスピードで来居港まで帰っていきました。

結局、ノダイコンの花が咲き誇っている姿は見ることはできたものの、晴れやかな島前の島々を見ることはできませんでした。

よくよく考えてみると、私が見たかった景色は、快晴の日の赤ハゲ山であり、青い海に映える白いノダイコンの花々と島前の島々の景色だったんだなあ、と、あとで気づきました。

どんな景色が見たいか。

見たい景色があいまいなままだと、実行することばかりが先走り、あいまいな結果しかついてこないなあ、と反省しています。

これは例えると、自分の将来像にも通じることはないでしょうか。例えば、きちんとしたビジョンを描き、実現するために計画を立て、一つひとつプロジェクトを実行していくプロセスと同じではないでしょうか。

 

あとで振り返って「ああすればよかった」「ああ言えばよかった」と、落ち込むことはあります。でも一方で、私は「できなかったからしょうがない」と割り切って早めに切り替えるようにしています。

関西に住む友人が、「落ち込むやつは、自分を過大評価しすぎ」と言ってくれたことがあります。つまり、「ああすればよかった」「ああ言えばよかった」は、「自分は本当はうまくできる、うまく言える」という前提に立っている、と。

でも、実際はできてないし、言えない。そうした自分をありのままに認め、受け入れることも大事だと思います。

 

次回は、天気のより良い日に、赤ハゲ山にリベンジしに行きたいと考えています。

 

さて、皆さんは夏休み明けの2学期に、どんな景色が見たいですか。また本校の卒業後に、どんな景色が見たいですか。

 

生徒の皆さん一人ひとりが、「有意義だった」「充実していた」と振り返ることのできる夏休みを過ごし、2学期の始業式に元気な姿を見せてくれることを期待して講話とします。

 

 

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