校長室より

令和8年度 入学式 式辞

ここ数日穏やかな春の日が続き、ここ島前地域の少し遅咲きの桜が、今日の日を待ちわびたかのように咲き誇っています。

本日このよき日に、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、令和8年度島根県立隠岐島前高等学校の入学式を挙行できますことは、本校にとって大きな喜びであります。高い所からではありますが、ご臨席いただきました皆様に、心からお礼申し上げます。

 

保護者の皆様、本日はお子様のご入学おめでとうございます。そして数ある高校の中から本校での学びに信頼と期待をもってお子様をお預けいただきますことに深く感謝いたします。とりわけ、遠く離れたこの隠岐島前の地へ、お子様を送り出してくださった保護者の皆様には、大きなご決断とご不安があったことと拝察いたします。こうして島内外から迎え入れるどのお子様にとっても高校三年間は人生の方向を決定する上で大切な時期であり、悩み苦しみも大きい時期でもあります。私たち教職員は、お子様が自らの生きる道を自らの力で切り開いていけるよう、全力を尽くしてまいります。今後とも学校と家庭、そして地域が一体となり、一人ひとりの成長を見守り、支えていけますように、本校の教育活動にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

さて、只今入学を許可しました46名の新入生の皆さん、入学おめでとう。本校は、昨年度創立70周年という一つの節目の年を迎えました。次の時代へ新たな一歩を踏み出そうとするこの年に皆さんを迎えることができたのは何かの縁を感じます。

島前高校はこれまでの歴史の中では学校存続の危機に直面した時期もありました。今では地域未来留学ではその名を知らぬ者がいない全国の先駆者として注目される学校でありますが、それに甘んじることなく、地域と一体となり、進化を止めない気概で本校の未来を見据えた様々な取組を行っています。本日ここに志を持って本校の門をたたいてくれた新入生の皆さんにも、校訓である『真理・理想・進取』つまり「真理に根ざし、理想を掲げ、新しいことに自ら進んで挑戦する」ということを胸に、在校生、教職員、保護者の方、そして地域の皆さんととともに力を合わせて、伝統を受け継ぎ、新たな歴史を刻んでくれることを期待しています。

 

本校で大切にしていることの一つに、「踏み込み」という名の挑戦と、挑戦した後の「振り返り」があります。今日という日は、皆さん一人ひとりにとって、新たな人生の扉が開かれる、大切な節目であります。そして、この場にいるということ自体が、皆さん自身の意思による「踏み込み」であり、すでに島前高校生として最初の大きな一歩を踏み出したことになります。これから過ごす3年間で、自分自身はもちろん、全国から集まる多様な仲間や地域と向き合い、ときにはぶつかりながらもお互いの違いを認め合い大きく成長する機会が本校では数多くあると考えています。また「踏み込み」と「振り返り」を大事にする上で、「失敗を共に称え合う学校」をスローガンに掲げ大切なものの一つとしています。思い切って踏み込んだ先には「失敗」はつきものです。しかし本校ではその失敗こそが、次に踏み出す一歩をより確かなものにしてくれ、自分を最も成長させる学びの場だと捉えています。なぜうまくいかなかったのか、何が足りなかったのかを「振り返り」、そこから学びを得る。そして、その学びを次の「踏み込み」へとつなげていく。この島前高校の学びのスタイルを、まずは自ら体現し、是非、縁あって集まった信頼できる仲間とともによりすばらしいものへ作り上げていってくれることを期待しています。

 

最後に、新入生の皆さんに1つ言葉を送ります。

「汝、何のためにそこに在りや」

もともとはアメリカのハーバード大学のジョンソン教授の言葉ですが、昭和四十年頃に秋田県にある県立秋田高校で当時の校長の鈴木健次郎先生が繰り返し生徒に伝えておられた言葉です。「あなたは、なんのためにここにいますか?」「なぜここにいるのですか?」。という意味の問いですが、今この問いにどんな答えが返せますか?即座に思い浮かばない人は、今日の日をどんな気持ちで迎えたか、これから始まる新しい生活へのどんな期待をこめているのか、今どんな目標を思い描いているのか、それに立ち返りこの「問い」の答えを見つけてください。それが高校3年間を本校で過ごすみなさんの軸になるはずです。学校生活をして行く中で時と場合によって、この問いの答えは変わることもあるでしょう。複数になることもあるかも知れません。一つ一つの小さなことになるかもしれません。それでも「ここでしかできないこと」「自分にしかできないこと」それを常に考え、この「問い」の答えをいつ、だれに聞かれても即座に断言できる、そういう自覚と誇りをもった島前高校生に一日も早くなってくれることを願っています。

 

皆さんはこの春に自らの人生の大きな決断をしてここへ来ました。決して一人ではありません。周りをみてください。新しい友人、仲間、先生、先輩、たくさんの大人たちがいます。その仲間とともに、これからの島前高校を、皆さんが日々の学びを通して自分たちで形作っていってくれることを期待しています。

新入生の皆さんのこれからの3年間が、忘れられない宝物となるような高校生活となることを祈念して、入学式の式辞といたします。

 

令和八年四月十日

島根県立隠岐島前高等学校

校長 伊藤尚子

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