校長室より

令和4年度卒業式 校長式辞

本日からフェリーも春ダイヤ、花々も咲きほころび 確かな春の息吹が感じられる今日のこのよき日を迎えることができました。

 

本日は来賓の皆様のご臨席を賜り、久方ぶりに対面での卒業式を挙行できますこと、卒業生はもとより、私たち教職員及び在校生にとって大きな喜びであります。まずはお礼申し上げます。ありがとうございます。

 

保護者の皆様におかれましては、新型コロナウィルスの状況を含め、様々心配されながらの3年間、今日のお子様の成長された姿に感慨もひとしおのことと存じます。ご卒業をお慶び申し上げますとともに、これまでのご理解とご協力に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。本日は一回りも二回りも大きくなったお子様の姿をしっかりと見つめてあげていただきたいと思います。

 

さて、卒業生の皆さん あらためて「卒業おめでとう」 思い返せばオンラインでの入学式でこの学年はスタートとなりました。皆さんは入学時からコロナ禍での学業や部活動を強いられ、学校行事も予定通り行われず、地域の方々との交流も制限された中での生活が続き、いわゆる「先の見えないなかで」、「当たり前のこと」が体験できない日々を過ごしました。

 

ですが、私から見て皆さんは常に前向き、本校スローガンの一つ「踏み込みの島前」を象徴する学年でした。あなた方へのエールとして、1学期終業式でローランドさんの「先が見えた人生の方がよっぽど怖い。成功する、しないは抜きにして、先が見えない方が絶対に楽しいと思う。先が見えないからこそ考え、努力し、前に進める。もし先が見えたら、何も考えずに流されていくだけでしょう。」という内容を伝えました。

 

振り返ってみましょう。皆さんは制限が様々あった中で精一杯の工夫と本当に必要か必要でないかの取捨選択など、これまで体験できなかった「当たり前でないこと」に多く関われたと思いませんか? 確かに先の見えない苦しみは多かったと思いますが、その中で何ができるかを真剣に考えたはずです。その際には「これまでの当たり前をあえて疑う」 批判的思考力を養いながら、前進を続け、新たな形さえも築きあげてきました。皆さんのその姿こそが 今年度10月13日の「失敗の日」制定にもつながりました。あなた方は苦しんだからこそ、その思いが理解でき、苦しんでいる他者への思いやりも十分に見せてくれました。皆さんの姿勢に後輩も必ずや続き「踏み込みの島前」をますます強め、「失敗を共に称え合うことのできる学校」を作ってくれると信じています。

 

さあ、皆さん、いよいよ新たなる旅たちです。どうか 『「私の人生」というドラマの主人公は自分でしかない』という思いをもって。繰り返します。 『「私の人生」というドラマの主人公は自分でしかない』という思いをもって歩んでください。

地球上に数十億人の人間がいるとしても、主人公を演じることはあなた以外にはできません。これからの人生をどのようなドラマにしていくのか、 これまでの体験を糧として、自らの判断によって進むべき道を切り開き、これからも胸を張って生きていってください。

ただ、ドラマは一人ではできません。あなたがいなければ、「私の人生」というドラマは成立しませんが、それを支えてくれる、輝かせてくれようとしている無数の人たちがいることも、また事実です。 今まで育ててくださったご家族に感謝し、指導くださった大人たちの教えを胸に、そしてこれからの新たな出会いを大切に、一緒にドラマをつくる人たちに対して 主人公の責任もしっかり果たしてください。

 

最後に、卒業生の皆さん この学校で この島で 学ぶことを選んでくれて、本当にありがとう。

 

令和5年3月1日

島根県立隠岐島前高等学校 校長 野津孝明

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