校長室より

一年の振り返り、そして新年度へ(第3学期終業式式辞)

3学期の終業式をむかえました。今学期も学校全体では大きな事故等なく無事にこの日をむかえることができました。コロナ禍にあって、学校活動には以前、制限が掛かる事も多い中、生徒の皆さんの現実をしっかりと受け止めて取り組もうとする姿が今学期も随所に見られました。

さて、3学期は今日で終わりになりますが、君たちはこの3学期をどのように振り返りますか。一つの節目となる年度替わりのこの時期に、少し落ち着いて客観的にこの3学期、そしてこの一年を振り返ってみてください。そして、振り返りのなかで気づいたことは、気づいた時が実践する時です。実践することによってのみ自分を成長させることができます。

2年生は、昨年11月に予定されていたシンガポール海外研修の代替研修を2月2日から4日間の日程で行いました。1年次から取り組んできた夢探究の最終プレゼンテーションは、事前の準備をしっかりとして臨んでいることが十分に伝わる内容で、特に、大学の海外留学生の協力を得た質疑応答では、持てる英語力を駆使して何とか対応しようとするチームワークが印象に残りました。他のチームの発表を聞く姿勢も立派でした。また、島内三町村のローカルを探究するプログラムでは、隠岐島前神楽の体験をはじめ、地域の方々の協力を得て地元の産業や文化に触れる機会となりました。

研修が終わり2週間を経過した頃、校長室を尋ねてくれた二人の生徒から感想を聞きましたが、「シンガポールに行けなかったのは残念だけど、今回の研修を島前地域でできたことは却って良かったと思えます。コロナ禍でも研修をさせてもらって有難かったです。」と言っていました。「島前でやるとなったことに意味があるはず」を合言葉に準備・運営にあたった教職員チームにこそ有難い一言でした。例年、12月に行っている探究学習成果発表会を今年度は3月15日に開催し、2年生は事前の予選により選抜された3組が、また、1年生は個人部門に立候補した2人が発表をしてくれました。一つの結論を導き出す過程の苦労や葛藤、人とのつながりの中での気づきやそこで得られた達成感など探究学習で学んだことの実感がしっかりと伝わってくる内容でした。

コロナ禍のこの一年、特に寮生にとっては、忍耐の繰り返しだったことでしょう。年度当初の健康観察期間から学校の臨時休業、ゴールデンウィークは帰省できず、夏休みも島に留まった人が多くいました。冬休み明けは感染防止の意識レベルを一段上げて寮内においても感染防止に努めてくれました。「忍耐」とは、自分の決めた目標を達成するために耐えることであり、ただ嫌な事でも受け入れる「我慢」とは異なります。おそらくこの一年間、自分がなぜ、何のためにここに居るのか、そして、ここからどこへ行こうとしているのか、自分自身と向き合うことも多かったのではないかと思います。君たちに、今はその自覚は無くても、この一年間の忍耐を伴う体験は、君たち一人一人を確実に成長させ、また、この地で学んだことの意味も必ず再認識できる時がきます。新年度は、もうしばらく感染防止対策を徹底しなければならない状況の中で新入生を迎えることになりますが、寮生の先輩として、この一年間の体験をもとに後輩たちを導いてほしいと期待します。そういう先輩としての自覚こそが、自治寮としての運営を君たちに引き継いだこれまでの卒業生の期待に応えることにもなると考えます。

島内生も含めて、春休み期間中の健康管理や帰寮の際の留意事項等について十分に確認をし、不安なく新年度を迎えられるように努めてください。

次は、新2・3年生になった君たちと顔を合わせることになります。この春休み期間中、振り返りによる取り組みをしっかりと実践することにより、新年度、自覚をもった一人一人の表情をみせてもらえることを期待し、終業式の式辞とします。

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