校長室より

【里にゃ人情の花が咲く(2)】

今年度も時折思いついたことや考えたことを紹介させていただきます。

お時間あればお付き合いください。

 

4月11日に入学式を終えた。新入生を迎え、いよいよ今年度もスタートできた感にあふれている。12日に教職員には話したのだが、入学式を行うにあたっては地域の皆様のお気遣いや思いやりがあった。

 

4月8日(土)午前

私の携帯が鳴った。相手は島前エリアの島々を結ぶ「島前内航船」を運行する会社の方からで「校長さん、11日の予報がどうも悪い。入学式に西ノ島から向かう人等が乗る7:50の船は小さい船だけん、強風になったら欠航すっかもしれん。次の8:23の船は動くと思うけど、それでは間に合わんし、なんか策を考えたほうが…」という内容であった。

この季節に欠航?完全に頭の中から抜けていた。西ノ島在住の生徒、新入生とその保護者、10日の夜には島外からの新入生とその保護者もかなりの数が西ノ島に宿泊されるはず。すぐに担当教員と連絡を取り、欠航の際には入学式開始を遅らせる段取りや連絡方法を協議した。

町内放送等で入学式は告知しているわけではないが、地域の皆さんが気に留めてくださっていることに感謝した1日であった。

 

4月11日(火)入学式当日

天候が気になったためか朝4時に起床。強風の中、海を見に行くと、内海にも関わらずかなりの白波。土曜日にいただいた連絡の通り7:50の船は欠航となった。入学式の開始時刻を遅らせることとしたが、その後は時間を取り戻すこともでき、結果として多少の遅れで入学式を無事に終えることができた。

お昼過ぎ、港に行き島前内航船「いそかぜ」の乗員さんに「今朝は世話になりました。おかげで無事に…」とお礼を伝えに行くと、乗員さんが「8時の船は自分が乗っちょったけど、今朝は堪えたぞ。結果、乗りきれんで積み残しが20人位になってな。だいど地元の出勤に使う連中が『島前高の入学式なら、自分ら後の船でいい』って言ってごしたけん助かったとこだわ」「まあ、校長さんよかったがな」と話してくれた。

地域と本校の結びつき、地域の皆さんの優しさに支えられている隠岐島前高校を再実感した一日でした。

 

※実は昨日、『自分ら後の船でいい』と言って下さった方の一人に偶然出会った。「聞いてました。ありがとうございました」と伝えると、「当たり前のことしただけだわ。おかげでゆっくり出勤したけん、気にせんでよ」と笑いながら応えてくださいました。

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